紫の砂
□儚き君の手を掴む
2ページ/85ページ
━何時からだった?━
━お前が泣かなくなったのは━
━泣き虫だったお前が━
━全く涙を見せなくなった━
━比例するように━
━作り笑顔が多くなって━
━心からの笑みが希薄になる━
━その儚げな笑みは━
━お前自身が━
━消えてしまいそうな━
━不安に駆られるのは俺だけだろうか?━
━何時から僕は━
━泣くのを止めた?━
━幼い頃、君に━
━僕を泣き虫だとよく言われた━
━心から笑えなくなって━
━徐々に感情が解らなくなるんだ━
だけど、翠玉の伸ばした手は逆に紫紺を傷つけ、他の玉の手は優しく紫紺を包みこんだ。
§儚き君の手を掴む