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□Two of a kind
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あんまり人の事しばらないでくれる? とか、そういうことを平気な顔して言い放ったものだから唖然とした。
果たして、彼の気は確かなのだろうか。
それじゃあ、貴方は人の事言えるんですか? って食って掛かったら、思いっきり不機嫌なツラをされた。
貴方、自分の事なんてこれっぽっちもわかってないのでしょう。
「へぇ、言うね。」
眩しそうに目を細める。
これは明らかにギリギリの所で怒りを抑えている表情のようだ。
長く深い冬の気配がする公園で、その隅に控えめに置かれたベンチに2人で腰かけている。
これから始まる厳しい季節に備えて周りの木々は狂気的なほど紅く染まって、吹き上げる風にザワザワと断末魔の声をあげている。
どちらがどちらにどれだけ縛り付けられたら互いが満たされるのか。
わからない。
恐らく満たされることは無いのだから、それはそれで構わないのだと思う。
それを満たそうとする想いと行動こそが意味のあるものであって、結果は単にその過程のおまけでしかない。
笑う人もいるかもしれない、本末転倒だって。
でも、これが真理というヤツなのだから仕様がないのだ。
そんな場所に身を置いていると気が狂いそうになるかもしれない。
こんなに美しく整った顔をしておきながら、その内側は常にドロドロして屈折してぐちゃぐちゃに乱れた何かを飼っているのだから、得体が知れない。
離れれば寄ってきて、こちらが寄れば離れていく。
積もり積もったジレンマが、時に爆発を起こす。
もう、何に依存しているのかよくわからない。
面倒臭い
でも好き
面倒臭い
依存されて
でも好きだ
面倒臭い
依存され
依存する
依存しあい
愛しあう
「知ってた? 似てるんだよ、私たち。」
そんな関係が莫迦みたいに心地よいのだから、ああ自分もとうとう末期か、なんて。
自嘲気味に嗤った私を、彼は片側の目で静かに眺めた。
憎らしい。
この嫌に平静を取り繕う眼が。
でも、それだけじゃないことは何となくわかってる。
彼の中のぐちゃぐちゃに乱れた何かが暴れるのは私の所為でもあるのだから。
もっと歪んだらいい。
そんな、綺麗な顔をして。
―――End―――
これは夢ともいえない駄文となってしまいました。ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!