短編小説U
□卒業〜銀時version〜
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目に染みるような青空を見上げ、俺はゆっくりと煙りを吐き出した。
『卒業〜銀時version〜』
「銀ちゃん、ここに居たアルか?」
寝転がった俺の視界いっぱいに、ピンク色の髪が広がる。
見下ろすような形で、神楽は銀時に微笑んだ。
「さっちゃんが探してたアルよ?後、校長も」
「ほっとけ、銀八先生はさっきの卒業式で、お前らと一緒に卒業して行ったんだよ」
「訳わからないアル」
「いんだよ、分からなくて、つかお前、パンツ見えてるぞ」
「マジでか?」
『グシャッ』
神楽は慌てる事なく、足を上げると、そのまま銀八の顔を足で踏みつけた。
「いてっ!いてててっ!ちょっ!神楽ちゃん!?銀さん潰れちゃうよ!?」
「花の女子高生の生パン見れたんだから、これぐらい耐えるネ」
「ちょっ!無理!無理だからっ!」
ミシミシっと、鈍い音が聞こえ出した所で、銀八は神楽の足を払いのけた。
「…あー、痛ぇ、ったく、卒業したんだから、もう女子高生じゃねーだろ?」
「うん、だから来たアル」
「…へ?」
神楽は何か決意を秘めた瞳で、銀八を見つめる。
「銀ちゃん、…好きヨ」
「…お前…」
ふわりと微笑んだその顔には、伝えられたと言う満足感が現れていた。
(いや、いやいや!無理だろこれ!仮にも先生よ俺?確かに神楽は可愛いが…、っていやいやいや、無理だから!)
思わぬ告白に、何も言葉が出ず、固まっていると、
「答えはいいネ!言えただけで満足アル!…もう会う事も少なくなるけど、私の事、忘れないでネ!」
神楽は早口でまくし立てると、銀八の顔を見る事無く、踵を返した。
「!待てっ!」
銀八は反射的に、その腕を掴む。
「…あー、その、…何だ?」
「…銀ちゃん?」
小さく自分を呼ぶ声に、心がざわめく。
忘れないでって、んなしおらしい事言うなよ、全然お前らしくねぇんだよ。
明るくて、元気で、でも…少し寂しがり屋で、いつだってお前は真っ直ぐ俺を見てくれていた。
気付いてたんだよ…、とっくに。
(お前からは逃げられないって…)
ガリガリと頭を掻くと、銀八は大きく溜め息をつく。
「クソッ、俺もだよ!」
らしくなく、乱暴に言い捨てると、ポカンと口を開けている神楽をキツく抱きしめた。
先生だろうが、元生徒だろうが、そんな事考える余裕なんて、はなっから無かったんだ。
「好きだよ、神楽」