BOOK(ドラズ)

□日本の風物詩・冬
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「なんだ、これ」

日本式のお椀という食器に盛られた、熱々の湯気をたてる日本風の汁物。

中には大根や人参などの野菜と、白いものが浮かんでいる。

テーブルに出されたそれに、キッドは不思議そうにそう言った。

キッチンで作業をしていたドラミが、くるりと振り返る。

「お雑煮よ。日本のお正月だもの。やっぱり、これがないとね」

「ふうん」

興味があるのかないのかよくわからない様子のキッドだが、箸をとった。

ドラミの作る料理は日本食もあるので、箸の使い方には慣れたキッドである。

とりあえず、汁をすすってみる。

「あ、うまい」

次に、白い物体をかじってみた。

これも柔らかくてうまいが、よく伸びて、しかもなかなか切れない。

「あ、お餅はよくかんで、喉に詰まらせないようにね……て言ってるそばから!」

ドラミが様子をみると、案の定。

キッドが青い顔で胸を叩いている。

ドラミが急いで持ってきたお茶でどうにか流し込んで、キッドはやっとこさ息をついた。

「はぁ〜。死ぬかと思ったぜ…」

「キッドったら。お餅は注意しないと危ないのよ」

肩をなでおろすドラミの横で、キッドは残っていた汁を飲み干した。

「ドラミ、おかわり」

ずいっと出された空のお椀を、ドラミは喜んで受け取った。

「はーい。いっぱい食べると思ったから、まだまだあるわよ」

「おう!まかせとけ」

日本の正月を飾る、美味な風物詩。

食べる際には要注意。



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