BOOK(ドラズ)
□日本の風物詩・冬
1ページ/2ページ
「なんだ、これ」
日本式のお椀という食器に盛られた、熱々の湯気をたてる日本風の汁物。
中には大根や人参などの野菜と、白いものが浮かんでいる。
テーブルに出されたそれに、キッドは不思議そうにそう言った。
キッチンで作業をしていたドラミが、くるりと振り返る。
「お雑煮よ。日本のお正月だもの。やっぱり、これがないとね」
「ふうん」
興味があるのかないのかよくわからない様子のキッドだが、箸をとった。
ドラミの作る料理は日本食もあるので、箸の使い方には慣れたキッドである。
とりあえず、汁をすすってみる。
「あ、うまい」
次に、白い物体をかじってみた。
これも柔らかくてうまいが、よく伸びて、しかもなかなか切れない。
「あ、お餅はよくかんで、喉に詰まらせないようにね……て言ってるそばから!」
ドラミが様子をみると、案の定。
キッドが青い顔で胸を叩いている。
ドラミが急いで持ってきたお茶でどうにか流し込んで、キッドはやっとこさ息をついた。
「はぁ〜。死ぬかと思ったぜ…」
「キッドったら。お餅は注意しないと危ないのよ」
肩をなでおろすドラミの横で、キッドは残っていた汁を飲み干した。
「ドラミ、おかわり」
ずいっと出された空のお椀を、ドラミは喜んで受け取った。
「はーい。いっぱい食べると思ったから、まだまだあるわよ」
「おう!まかせとけ」
日本の正月を飾る、美味な風物詩。
食べる際には要注意。
《後書き→》