BOOK(ドラズ)

□Par-fum
2ページ/3ページ

「甘すぎなくて爽やかな香りだから、キッドでも大丈夫かなって思って…」

「オレでも大丈夫って、オレは使わねぇぞ?」

「あ、や、それは、そうなんだけど!そうじゃなくってね…その…」

「ドラミ?」

ごにょごにょ言うから顔を覗けば、こいつは耳まで赤くなって、う〜と唸った。

「…その、近づいた時に…イヤな思いをさせたくないから…」

なんだ、この可愛いの。

「じゃああれか、いい匂いってのは花の匂いだったのか」

と、ドラミは肩越しにそっと上目遣いで見てきた。

「キッドはこの香り、好き?」

「あぁ、わりとな」

「そっか。よかったぁ」

オレは、安心したようなドラミの小さな頭を、撫でてやった。

「まぁでも、どっちかっつったら、オレはいつものの方が好きだけどな」

「いつもの?」

「ほら、シャンプーの匂い…っつうのか?そういうのの方が、オレはいいな」

「えっ…」

ドラミは、音がしそうなほど一気に赤くなって、今度こそ顔を隠してしまった。

「ははっ。そら、へちゃむくれてないで、こっち向け」

ばか、と小さく聞こえた。

うん、やっぱりオレは、作り物の匂いなんかより、こいつ自身のがいいな。



《後書き→》
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ