BOOK(ドラズ)

□ぎゅっと
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「ドラミ」

こいこい、と手招きして。

「前と後ろ、どっちがいい?」

そんな事を言ったキッド。

「何よ、突然」

「いいからいいから。で、どっち?」

「ん〜と…じゃあ、後ろ?」

「おし」

するとキッドは、ドラミの体をくるっと回して。

後ろにぐっと引っ張った。

「きゃっ…」

あぐらをかいたキッドの膝に、ドラミはすっぽり収まった。

キッドは腕を回して、ぎゅっと固定する。

「きっ、キッド!?何!?」

「何って、お前が後ろからがいいって言ったんだろ」

「そんなの聞いてないもん!って言うか、どこ触ってるのよぉ!」

真っ赤になってジタバタとあばれるドラミを、キッドは更にぎゅうーっと抱き締める。

ちゃっかり首筋に顔を埋めてくるものだからたまらない。

「やんっ…」

「お前ってさ、いつまで経っても慣れねぇのな」

「だってぇ…」

「だって、何だ?」

ちゅっと、キッドはドラミのりんご色の頬にキスを一つ贈る。

「だって、キッドが…」

「俺が?」

キッドが顔を覗き込むと、ドラミはむぅっと唇をとがらせた。

「ほら、またへちゃむくれになってるぞ」

「…誰のせいよ」

「俺のせい?」

しれっと言うキッドにドラミはますますむくれて、ぷいっとそっぽを向いてしまった。

「あらら。お姫サマのご機嫌が傾いちゃったか」

キッドはドラミを少し持ち上げて向きを変え、今度は正面から抱き締めた。

「ほら、機嫌直せって」

顔は上げずにキッドの胸に埋もれるドラミ。

「……天然たらし」

ぽそりと呟く。

「ん?何だ?」

「なんでもない」

ドラミはキッドの服をぎゅっと掴んだ。



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