BOOK(ドラズ)

□好きだよ
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「ドラミ、好きだ」

何の脈絡もなく。

キッドは私に、そう言った。

久しぶりにお仕事がないキッドは、羽を休めに二十二世紀の日本にやって来た。

里帰りと言うのかな?

でも、生憎の雨模様。

だから、お部屋でお茶を飲みながら二人でまったり過ごしてたんだけど。

キッドが突然の告白をしてきた。

「え、どうしたの?」

「んー。なんとなく」

なんとなくって…。

キッドは照れるでもなく、顔色一つ変えないままで。

こっちが困っちゃうじゃない。

そりゃあ恋人同士な訳だし、嬉しいけど…。

はっ、まさか…!

私はキッドの背中や頭の後ろを探る。

「何やってんだ?」

「ほら、いつかの時みたいに変なアンテナに操られてるんじゃないかなって」

「なんだ、てっきり誘われてるのかと」

「ばっ、ばかっ!そんなワケないでしょ!!」

とりあえず、怪しいものはなかった。

「大丈夫さ。オレは素面そのものだ」

「本当?おかしな道具とか心当たりない?」

「ないない」

ちょっと安心。

「でも、ほんとにどうしたの?いきなり、その…好きだ、なんて…」

今さらながら顔が熱くなってきた。

「ほら、オレいつも仕事で会えないじゃん?だから、こうして二人でゆっくりしているのが、なんつーか、幸せだなぁって思ってさ」

きっとキッドは無意識なんだと思う。

嬉しそうにしちゃって、タチが悪いったらない。

乙女心なんて分からないくせに、どうして私が一番欲しい言葉をくれるんだろう。

キッドはにっこり笑って。

「好きだよ」

もう一度言った。

心臓がもたないわよ…。

「なぁ、ドラミは?」

それでも、その少年のような笑顔に私はほだされてしまうの。

「私も…好き」



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