秀徳夢・他

□小さな体
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熱い額に、ひんやりと心地よいものが触れた。
うまく働いてくれない頭でもなんとなくわかる。
これは、誰かの手だ。

ううん、誰か、じゃない。
昔からよく知っていて、ひよがいつも頼りにする、大好きなーー……。

「……ひよ? 気分はどうだ?」

ゆっくりと色が追加されていく視界に従兄がいた。
制服のままということは、練習を終えてそのまま家に来てくれたのだろう。

「きよくん……部活おわったの……?」

「おー」

「……そ、か。おつかれさま」

それだけの会話で酸素の不足を感じて、ひよは深呼吸をするように息をついた。

「その様子だとまだまだだな」

首の熱さも確認した従兄は、汗ばんで水気のある前髪をそっとよけて、冷却シートを貼ってくれる。

「こんな小さな体で、よくやってるよ」

強豪の秀徳では、マネージャーといえども過ぎるくらいに頑張らないとやっていけない。
ましてや入部したばかりの一年生はなおさらなのだ。

「きよくん……」

枕で支えていても重く感じる頭を、男の子らしい骨ばった手が撫でていく。

「ああ、わかってるから。だから、無理はすんなよ」

「う……」

さとされて、ひよは頷くかわりに瞼を閉じる。

今の仕事は、一生懸命に休むこと以外にないのだ。



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