秀徳夢・他
□そういう対象に
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宮地サンとはいとこ同士で。
小さい頃からずっと、宮地サンがバスケをするのを見てきたらしい。
だからなのか、宮地サンが特別な存在だっていうのは、はたから見ていてよくわかる。
けど、納得はできねー。
口を開けば、一言目には清くん。
二言目にオレの名前を呼んでくれたかと思えば、三言目にはまた清くん。
なにかにつけて清くん清くん。
ねぇ、ひよちゃんさー。
あの人のこと、そういう対象でないんなら、もっと他に目を向けてもいいんじゃねーの?
「ひよちゃんってさ、宮地サンのこと、どう思ってんの?」
「え?」
きょとんとする彼女。
そりゃそうだ。
そもそもこの質問、明らかに裏があるのわかるだろ。
「清くん?そうだなぁ……」
やや上を向いて考えるひよちゃん。
もう一度言うけど、彼女とあの人はいとこだ。
まさか……はない、と思いたい。
じっと答えを待つ。
「……カッコいいお兄ちゃん、かな?」
肩の力が急に抜けた。
なんだ、はは。
「そっかー。んじゃ、オレも可能性はアリってことかな」
壁は更に高くなった気がすっけど、そこはそれ。
「なんのこと?」
「んや、こっちの話!」
まぁ、まずは。
そういう対象になるために、ちょっくら努力してみるかね。
《後書き→》