□過去も未来もすべて、
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嗚呼、もう少しくらい話させてくれても良かったのに、と私はポツリとつぶやいた。


ここは船の中(ああ、空飛ぶほうの船、ね)。
また子ちゃんや万斉やその他変態(と書いて武市と読む、かもしれない)とかは居なくて、そこには私と晋助2人飯台で向かい合わせ。

せっかく晩御飯作ったのに皆忙しくてそれどころじゃないみたい。
お偉い総督様は何故か何もしてないんだけど。(仕事しろよ)


久しぶりに、江戸へ行ったのだ。
過保護な誰かさんのせいで(ほんとに!)ずっと船の中で、観光とかそんなことは全然出来なかった。
晋助が「江戸行くぞ」って言った時、すっごく楽しみにしてたのに。

別に人がたくさんいて同じようにキャーキャーしたかったわけじゃない。
どちらかというとやっぱり静かなほうが好きだし。


のんびりできる散歩が私は好き。(「爺臭い」って晋助に言われた)(失礼だなあ)
だから江戸に来たらいろんなところに足を向けようと企んでいたのだ。


でも江戸について外に出ようとした瞬間「お前は船の中だ」って言われて結局船の中に。
それから何度か外出しようと挑戦したけど、いつも誰かが船の周りにいて結局連れ戻された。

ほんとに過保護だったらありゃしない!
心配してくれてるのはわかってたけど(それなりにうれしかったし)、それでも私だって自由というものがほしかった。



「あんなやつらと話する必要なんざねえよ」
「えー、せっかく会ったんだから昔の話とかしたかったな。」
「(こいつ絶対状況わかってねえ)」

晋助は静かに焼き魚をほぐす。
意外と彼は器用で、いとも簡単に骨をきれいに箸でとっていく。
ちょっと悔しい。
私の自分でほぐした魚はぼろぼろで骨も少し残っている(・・・・)。


「懐かしいなあ、銀時に小太郎かあ。
 攘夷以来ほとんど会ってないんだよねえ。」

私と晋助と銀時と小太郎は寺子屋の時からの知り合いで、まあ幼馴染というものだ。
松陽先生が亡くなった時、攘夷戦争に行くといった3人をなんとか説得して私も連れて行ってもらった。

あの時は生きるということに本当に必死で、縋り付いて生きていた。



攘夷戦争が終わり、皆別々の道へ歩いていった。
私は晋助についていって攘夷活動を手伝っている。
情報収集したり、官吏の暗殺するための手引きを手伝ったり。

世間的には反対を向いているのはわかっている。
でも、後悔はしていない。
これで、よかったのだ。



「別に一生会えねえわけじゃあるめぇ。」

晋助はそう呟きながら腕を伸ばして私の焼き魚が入っている皿を攫った。
変わりに晋助の魚を私の前に置く。
そして、また器用に魚をほぐしていく。



「うん、そうだね」


過去も未来もすべて、君に捧ぐ
(これからも、お互いそうやって支えあっていければいい)







お題配布元 確かに恋だった


名前出てこなかったですが何か?(・・・すみません)
やっさしい高杉ですが何か?(似非なのは自覚しております)
時間的には紅桜編の後。
周りは忙しそうにしてるのに、こいつらだけのんびりしてやがるんです。

09'03/24 lucifer

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