短編

□旅立ち
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茶州へ旅立つ前日。

燕青は旅の準備を終えて、厨房を覗いた。



「姫さ〜ん、ご飯まだ〜?腹減ったんだけど」



明日はいよいよ茶州へ出発だというのに、全く緊張感のない燕青に秀麗は軽く溜め息をついた。



「もうちょっと待って……あっ、燕青。静蘭知らない?もう、お夕飯の時間なのに見あたらないの」



どうしたのかしら?と秀麗は心配そうな表情を浮かべながら言った。燕青は一瞬険しい顔付きになったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。



「俺、その辺を捜してくるから姫さんは飯作って待っててよ」

「え、えぇ…」



燕青はそのまま厨房を出て行った。秀麗も静蘭のことが心配だった。心なしか最近、元気がなかたようにも見えた。

でも、燕青なら何とかしてくれると確信していたので、再び夕飯作りを始めた。










燕青はただアテもなく歩いていた。周りをキョロキョロと注意深く見渡しながら。

すると川の土手の所で静蘭が座っているのが見えた。ぼぉーっと川の流れを見つめている。

茶州行きが決まってから静蘭はずっと心ここにあらずだった。燕青は茶州は静蘭にとって辛い場所だと分かっていた。








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