短編
□夜のお仕事
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「お嬢様…明日からしばらく夜のお仕事をすることになったのですが…」
ある日、邵可邸ではいつものように秀麗と静蘭と邵可の三人でほのぼのと夜ご飯を食べていた。
しかし、静蘭の一言で秀麗はビシッと固まったまま動かなくなった。
「あの…お嬢様?」
「静蘭…いくらうちが貧しいからって、静蘭がそこまでする必要はないのよッ!!簡単に体を売るだなんて言わないでッ!!」
逆に今度は静蘭がビシッと固まってしまった。静蘭は秀麗が明らかに勘違いしていることを瞬時に悟った。
自分の言い方がマズかったのだろうか。
そんな時でも邵可はニコニコとご飯を食べていた。
「違いますよッ!?そんなお嬢様が考えているようないかがわしい仕事じゃありません!!主上の宿衛をすることになったんです」
「あら…そうなの?」
我に返った静蘭が慌てて訂正した。秀麗はホッと安心したのか、良かった〜と呟いてストンと椅子に座った。
静蘭はハァと深い溜め息をついた。
「でも、何で静蘭が?」
「最近、貴陽の周りで賊が増えているらしくて、多くの武官が市中警護に出ることになりまして…宮中警護がおろそかになってはいけないと」
そういうわけで静蘭は楸瑛直々に夜のお仕事=宿衛を頼まれたのである。
承諾するにあたってはもちろんギリギリまで日当をつり上げさせた。その辺はしっかりしている。
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