短編

□食料調達大作戦
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「釣れねぇ〜!!何でお前ばっかりボコボコと釣れてんだよ!!静蘭ッ!?」



わめく燕青をよそに静蘭は一人でもくもくと魚を釣り上げている。大漁だ。

その反面、燕青にはまったくと言って良いほどアタリは無かった。



「ふん…魚も釣られる相手を選ぶんだろう。魚だってお前みたいな髭面に食べられるより私のような美青年に食べてもらいたいと思っているに違いない」



静蘭は横目でチラリと燕青を見ながら、涼しい顔をしてサラッと言った。

美青年と言われても相手が静蘭なので反論もできなかった。

燕青はいつものことながらハァと軽く溜め息をついた。

それでもそんな静蘭を燕青は微笑ましく見ていた。“殺刃賊”時代には絶対に見られなかった静蘭で、内心嬉しく思っていた。


ところで、何故この2人が綺麗な湖の畔で仲良く魚釣りをしているのかというと、話は数時間前に遡る。

家計簿をつけていた秀麗が突然騒ぎ出したのだ。



『せいらぁ〜ん!!どうしよ…今月も赤字だわ。明日からご飯にありつけないわぁ〜』



燕青が長期滞在し始めててから、ギリギリだった生活にさらに食いぶちが増えたことによって家計は火の車だった。

最初のひと月ほどは楸瑛に静蘭の半脅迫めいた巧みな話術で燕青の分の滞在費を出させていたが、さすがに滞在が長くなるにつれて、いくら金持ちでも楸瑛に悪いと秀麗は受け取らなくなった。








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