短編
□少年よ大志を抱け
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ある日の昼下がり、清苑は庭院で本を読んでいた。昼から劉輝に本を読んでやる約束をしていたのだ。
すると、遠くの方から劉輝がトタトタ走ってくるのが見えた。清苑は自然と顔が綻ぶ。
「あにうえ〜」
「劉輝!!」
劉輝は走ってくるなり、勢いよく清苑に抱きついた。顔を埋めて、しがみついたまま離れない。
いつもと様子の違う劉輝に清苑は首を傾げた。
見た感じ、他の兄たちにいじめられたというわけではないようだが。
「どうした?劉輝…また、いじめられたのか?」
「あにうえ…違うんです…」
顔をあげた劉輝はふるふると頭を振る。清苑は劉輝の頭を撫でながら優しく問うた。
「何か心配事でもあるのか?」
「あの……」
「ん?」
劉輝は言いづらそうにもじもじしている。清苑は急かさずに静かに待った。
暫くして、意を決したように顔をあげて、口を開いた。
「あにうえは…男が男を好きになることは変なことだと思いますかっ?」
「は?」
清苑は一瞬完全に硬直した。
いきなり何を言い出すのかと目眩がする。でも、そこで否定してしまっては、劉輝を否定することになってしまう。
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