短編
□スレチガイ
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「アンタ、バカだろ?」
俺はセントラルの軍病院に来ていた。どっかの変態佐が入院したと聞いたからだ。
大佐は一応左官クラスというだけあって、かなり豪華な特別病室だ。
「やぁ、エドワード…心配して来てくれたのかい?」
本当に怪我人かというぐらいヘラヘラと笑ってやがる。
「別に…ちょっと覗いてみただけだよ…」
これは嘘。
本当はすっげぇ心配したんだぜ?それはもう気が狂いそうになるくらいに。
「ホークアイ中尉に聞いたぜ。テロ事件だって?」
「まぁね」
セントラルでテロ予告があって、その鎮圧に赴いたのがロイたちだったらしい。
犯人グループが追い詰められて自爆して、その爆風に巻き込まれそうになったホークアイ中尉をかばってこの有り様らしい。
「アンタ、バカだろ?アンタは大佐なんだから守ってもらう側だろ?何で自分から危険に飛込んでんだよ」
「ハハハ……同じことを部下たちにこっぴどく言われたよ」
まったく…俺はため息をつくことしかできない。
コイツには危機感ってヤツがナイのだろうか。
「フン…とんだ自己犠牲野郎だな」
「ククク…弟のために手足を差し出した君に言われたくはないね」
ったく…痛いとこを着いてきやがる。
俺たちは何となく似てるんだ。
大切な人たちのこととなると自分のことを顧みない。
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