BL

□Toxic symptoms
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ep.1


新羅の家に行ったら髪の長いどっか冷めた目をした女が俺と入れ違いになるように出て来る。


「じゃあよろしく頼んだわよ。」

「ウチは便利屋じゃないんだけどなぁ。」

「貴方、知り合いでしょ。」


女は新羅にそう言って俺の方を向くと意外そうな顔をして去って行った。


「あぁ、静雄。」

「今の誰だ?」

「臨也の事務所の助手だよ。」

「ノミ蟲に助手なんていたのか。」

「まぁ匿ってる傍ら助手にしてるって感じみたいだけどね。」


匿う?アイツがそんなイイ事をするはずねぇ。ってことはさっきの人はアイツが興味を持つ様な何かを提供してる、とかそんな感じか。


「今の波江さんからちょっと言われたことがあってね…。とりあえず、中入って話聞いてよ。」

「?あぁ。」


快く家に迎え入れるなんてことをしない新羅が自分から家に入れるっつーのは今までに一回もねぇ。そんな気が滅入るようなことだったのか…?


「コーヒーでいいよね?」

「悪いな。」


新羅は二人分のコーヒーを持って来てその内一つを俺の前に置く。
そしてしゃべるのも嫌だという様に口を開いた。


「私も話すのが嫌なくらいだから静雄からしたら相当嫌な話だと思うからキレないでねって一応前置きしとくよ。」

「わかった。」


コーヒーカップを持たない様にしなけりゃ物を壊すことはないはずだ。


「僕も噂を聞いただけでそんなはずない、と思っていたんだけれど、さっきの波江さんが来たことで噂が本物だとわかったよ。」

「噂?」

「折原臨也は体を売って情報を得ている。」

「臨也が…?」


そんなバカなことあるか。計算高いアイツがそんなことしなきゃならないような状況に陥るとは思えないし、何よりあのプライドの高い臨也が体を売る…?
学生の頃は何人もの女で遊んでたが新羅の言い方からすりゃ「そういう趣味のヤツ」に臨也の野郎が犯されてるみたいじゃねぇか。
俺も仕事が仕事だけにそんな世界があるっつーのはわかってはいるが…。


「波江さんの話に因ると、最近凄いダルそうに帰って来ることが度々あったらしい。始めはキミに殴られたとか一日中追いかけっこしてたんだろうとか思ってたみたいだけど。」

「ここ1ヶ月近くは見てねぇぞ…?あぁ、二週間前に自分から来たけどな。そういやそん時もダルそうにしてたな。」


あの時は何時もと違う臨也に気味が悪くなって追いかけ回さなかった。


「そう、その二週間前だ。」

「は?」

「二週間前から臨也は一度も家に帰ってないらしい。」

「どっか旅でも出てんじゃねぇのか?」


大の男が一人二週間帰ってないぐらい心配するようなことじゃねぇだろ。
そう思って言ったが新羅は無表情に首を振った。


「波江さんに連絡が入らないらしい。臨也はああ見えて割と律儀だ。助手くらいには連絡を入れるはず。」

「それも、そうか…。」

「それに、臨也が出て行くとき持って行った携帯のすべてにメールも電話もしたけれど全部返って来ないみたい。」


そういやアイツは無駄に携帯持ってたな。俺が壊しても次の瞬間には別の持ってたし。


「で、臨也が体を売ってるって話に戻るけど、行方不明になる少し前ぐらいに、臨也の首筋とかに所謂キスマークってのとか痣なんかが見えてたって波江さんが言うんだ。普段長袖だしわからなかったみたいだけど、Tシャツの中はボロボロじゃないかって話。」

「それで体を売ってる…か。」


いよいよ信憑性を帯びてきた話に吐き気がして来た。



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