夏色
□0.5
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「……本当にいいの?」
いつも優しげな笑みを絶やさない女性が、眉を下げて心配そうにしているのは、俺のせいだな…。
『……ああ…。折角だけど、多分ここは合わないから』
「……あなたが決めたなら、いいわ。だけど、後悔はしないのね?」
『俺は、自分で決めたことには後悔はしない』
「…そう、ならいいわ…頑張ってらっしゃい、蜜弥」
そう告げて、ようやくいつもの笑顔を見せてくれた。
『ああ……ありがとう、母さん』
俺も、いつもは見せない笑みを浮かべそう返した。
これから、始まる。
俺の……いや、
俺達の夏が。
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