溢れいずる思い

□其の四
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―広間での夕食…

横の雪人は普通に食べている…

―味感じてるのか?

そして汁物に口をつけ…

『……ぐっ…けほっ…けほっ…!』
急にむせた

《雪!》
手拭いを直ぐに手渡して背中をさする

『ごめ…っつ…』
涙目で苦しげに言う…

《いや…いい…雪は大丈夫か?》

『もう大丈夫…ありがとう…』
《雪…》

そこには二人の世界が出来ていた

「若葉ちゃん達…二人はちゃんと食べてるのかな?」
総司の一言に

『若君なら大丈夫だ…あいつは僕と違って丈夫だから…』
「へえ…人は見た目によらないね」
『若君は昔から病気知らずだ…風邪を引いたことも無い…』
「そうなんだ…」
『六歳の時の雪の日に若君が朝早く屋敷からいなくなったことがあったんだ…』
「それで…」
『一面雪景色でなかなか見つからなくてな…』
「あの髪の色じゃそうだろうな…」
『私も探しに行こうとして庭に出たら庭に沢山の雪うさぎがあってな…』
「雪うさぎ…」
『ああ…力で調べてみたら若君が私の為に作りに来てくれていたんだ。』
「それで…」
『すぐに若君を部屋に引き込んだ』
「近くにいたのか?」
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