溢れいずる思い

□其の七
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『……つっ…』
突然右腕を強ばらせて痛みに顔をしかめる

右腕の袖を肘の辺りまで捲ると痣が紫色に変色していた

―一昨日は赤かったのに…

『はじめさん…』
「何だ?」
『外に出して…』
「何を言ってる!そんな体で」
俺は思わず声を荒げる
『あの人が近くに来てるの…』
辛そうにそう言って起き上がろうとするが出来ずに再び突っ伏した
「あの人?」
『私の元友達…』
「!?手配犯の…」
『うん…まだ近くにいる…さっきの運ばれて来た三人の人斬ったのもあの人…』

「!?っつ!」

―お前はそんなにそいつの事を気にかけているのか?

『私が…止めなきゃ…』
また体に力を入れて起き上がる
「無理だそんな体で…」

―そんな体で止められる筈がないだろう…

『早くしないとまた人…死んじゃう…』
そう呟き必死にふらつきながらも立ち上がり歩き出そうとする
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