secretstory
□ほの暗い地下の部屋から
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−ハァァ‥−
深い溜息と共に書類を机に放ったリボーンは、今とても機嫌がよろしくない
原因は、目の前にある嘆願書兼報告書
「チッ。面倒事押し付けやがって‥」
忌ま忌ましげに舌打ちをし、リボーンは執務室を出た
‡‡‡
「‥綱吉君、噂をご存知ですか?」
綱吉の執務室で優雅に紅茶を飲んでいた骸が、綱吉に話し掛けた
「噂?‥‥って‥ここ最近広まってるアレ、か?」
書類と睨めっこしながらも、一応骸に答える
「えぇ、アレです。‥どう思いますか?」
「どうって言われても‥‥」
アレとは‥
ボンゴレ本部地下のある部屋から、夜な夜なまぐわう声が聞こえて来る
しかし扉を開けてみても、中には誰もいない
と云う何処にでも有りそうな怪談話
始めの内は幻聴や聞き違いだろうと思っていたのだが、複数名が同時に声を聞いたと云う報告と日に日に増える嘆願もあって、どうにかしなければならなくなった
既に調査の為に部下を遣っているのだが、一向に解決の目処が立たない
が、これ以上時間をかける訳にもいかない為、暇そうにしていたリボーンに任せた(押し付けたが正しい)
「‥‥もう何年も暮らして来て、ずっと何も無かったんだし、今更幽霊って事は無いんじゃない?」
「‥‥‥‥そう‥ですね‥」
(‥‥もっと。泣きわめく‥とまでは行かなくとも怖がってくれないと、見ている側としては面白くないですね)
どこまでも自分勝手な骸は、綱吉のあっさりとした解答に不満気な表情を見せる
「‥‥と言うより」
本人に自覚は無いのだろうか‥‥?
「ん?」
骸のぽそりとした呟きが聞こえたのか、綱吉が小首を傾げている
何か言った?
瞳で問い掛けてくる綱吉に、何でもないと首を振って見せる
しかし、その答えが不満だったのだろうか‥?
眉間に皺を寄せると、じとっ‥と骸を睥睨する
(‥ヤレヤレ‥‥)
膨れっ面をする綱吉に、こっそりと肩を竦めて溜め息を吐く
(こう言う幼い所はいつまで経っても変わらないですねぇ‥)
微笑ましく思いながらも表情は飽く迄冷静に
‘幼い’等と面と向かって言おう物ならMAXボルテージのXBurnerをぶっ放されかねない
(‥‥‥全く。何処でどう間違ったら、こんなにも性の悪いモノになってしまうんだか‥‥)
かつての無垢な綱吉と今の綱吉にされた仕打ちの数々を思い出し、秤に掛けながら遠い目をする骸
対する綱吉は、望んだ解答が得られ無い事に更にむっとした様子で骸を見ていた
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