secretstory
□君が好き
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−−コンコン
「失礼しますよ」
ノックと共にスラリとした長身の男が入って来る
「僕を呼び出すだなんて珍しいですね」
黒髪に黒依を纏った青年はニッコリと微笑む
とても美しい、完璧な笑顔
しかし、彼のオッドアイは一欠けらも笑ってはいない
「ぁー・・・怒ってる?」
呼び出した張本人、沢田綱吉はキラキラと輝く笑顔から視線を逸らしつつ尋ねる
「いいえ」
ドライアイスの様な笑顔から紡がれる声もまた凍えそうな程に冷たい
「−−−嘘つき」
「何ですって?」
ぽつりと呟けば間髪入れずに反ってくる
(こいつ、何もしなければ凄くカッコイイのに・・・)
「悪かったですね」
「えっ!?」
思考にまで言葉を返され、咄嗟に手で口を塞ぐ
(今、俺、声に出してた?!)
「出してなくても分かりますよ。そのくらいはね」
またしても思考に返事をしながら長身の青年−六道骸は執務室のソファーに腰を降ろしす
「で?」
骸が真顔で問う
「何故、僕を呼んだのですか?」
「−−−」
返事は無い
「?」
綱吉の方を向くとパッと顔を背けられる
−ムカ−
「綱吉くん」
「−−−」
名前を呼んでもやはり返事は無く、それどころか、更にに顔を背け、完全に後ろを向いてしまう
「・・・・・どうゆう、つもりですか?」
骸は立ち上がると机を避け、綱吉の真横までやって来る
「−−−」
綱吉は何も言わない
ふわふわの髪が邪魔をして表情を見る事も叶わない
「貴方が呼んだから、僕は今日、此処に来たんですよ?」
そう、沢田綱吉が呼んだから
大嫌いなマフィアの巣窟にまで足を運んだ
(それなのに)
「君の態度は気に入らない」
言うと同時に肩を掴み、乱暴に自分の方を向かせる
「!?」
驚いた反応があったが、そんな事は、今は、どうでもいい
「もう一度聞きます。どうゆうつもりですか?」
「っ・・・あのっ」
骸の怒気に、慌てた様子の声が漏れる
必死に言葉を探しているのは分かったが、今は待ってやる気にはならない
顎を掴み無理矢理顔を上げさせる
「ぁ・・・」