テニスの王子様 BL小説

□メロディーに歌をのせれるようになったら(塚不二)
2ページ/5ページ

社長という役柄は、思っていたよりもずっと大変だが、やりがいがあるうえに、全力を余すことなく使える、と不二が感じている為か、不二の働き方は尋常ではなく、会社の景気も良くなり、不二よりも、長く働いてきた者や年長者も、口出しをできない状態にある程、不二はこの仕事に積極的に取りかかっている。
だから、不二はいつも、社員よりもずっとずっと早くに会社に来て、スケジュール調整や、在庫管理、次の会議の資料の目通しなどをして、夜遅くまで会社のシステム確認や、新しい事業システムの勉学をする。
なので、今日も、会社へ着くとすぐに仕事を始めようとした。
だが、その瞬間に、不二の携帯が鳴る。
「はい」
「やぁ、不二」
「どうしたんだい?佐伯?」
佐伯という名前を口にしながら、不二は、自分と幼なじみで、現在はスポーツ事務所の社長である佐伯が、『不二社長』と呼ばず『不二』と自分を呼んだのに、友人として話しがしたいのだと悟り、楽に話す。
「実は、うちのプレイヤーに会って、ピッタリな服やラケットとかを一式揃えて欲しいんだ」
「友達として、こういう事を君が頼むなんて珍しいね?」
「確か飛行機のチケットの手配した時以来かな?」
「そうだよ。それにしても、写真送ってくれれば良かったのにね」
「それじゃあ、彼に失礼だからね。あ、本人はもうそっちにいかせてるんだ」
「え?!ちょっと、それを先に言ってよ!君が、そこまでするって事は相当有名なプレイヤーなんだろうから、出迎えに行かないといけないだろう?」
わざと不機嫌そうにして言葉を口にしながら、不二は急いでエレベーターに乗りこみ、お客専用の出入り口にむかう。
「まぁ、君の頼みなら喜んでするよ。じゃ、僕はお出迎えにあがるよ」
すぐに電話を切って、出入り口へ着くとちょうど黒のスポーツカーが駐車場に止まる。
すぐに、挨拶をしようと車の元へ歩いていくと、ドアが開き人が出て来た。
「!!!?」
不二は、その人物を見て目を見開いた。
「…手…塚…?!」
その人物は、不二の元恋人で、現在は世界規模で有名な手塚国光本人だったからだ。
「久しぶりだな。不二」
落ち着きのある声は、昔聞いた声とほとんど同じで、不二は手塚の元へ行く事を躊躇った。
だが、そんな事お構いなしに手塚が不二の元へ来る。
「…久し…ぶり…だね。手塚」
それに、慌てて不二は、途切れ途切れに言葉を発する。
「あぁ。元気だったか?」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ