テニスの王子様 BL小説

□なんたってsweet boys(リョ不二)
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スゥッと、風が吹き、緑の葉を揺らし、青学の屋上へと駆け抜ける。
その風に髪をかきあげられ、慌てて髪を正しながら越前は、壁に腰かけ本を膝に置いたまま眠る不二を見つめた

「不二先輩?寝てるんっすか…?」

越前がそっと近づき、目を閉じている不二に聞くが、返事は無く、本のページがパラパラとめくれる。

「……」

それに、越前はしゃがんで不二の顔を覗きこむ。
そうして、ふにふにとほっぺを人差し指で突っつく。
いつもの狸寝入りなら、そんな事をすれば、すぐに倍返しされる筈。
だが、不二は目を開ける気配もなく、越前は本当に寝ているのだと、改めて驚く。

「…先輩がこんな所で熟睡するなんて、珍しいっすね」

ほっぺをつまんで、ふよふよしながら越前が呟くと、不二が軽く眉間に皺をを寄せて身をよじった。

「…ン…」

一瞬、本当は起きているのではないかと思うが、手から本が無様にページをぐちゃぐちゃにして落ちているのを見て、寝ている事を確認した。
不二が、もし本当に起きているなら、本のページが折れるような下手な落とし方はしないからだ。

「……先輩、もう授業始まってるっすよ…?」
そっと囁き、越前は不二の唇を奪い官能的なキスをする。

「…ぅ……んっ…んぅっ?!」

それに不二は、すぐに目を覚まして、越前を離そうとするが、起きたばかりで力が入らない為、越前から逃げられない。

「ん〜!ッふぁ」

息が足りなくなくなった事を察し、越前が唇を離す。
あれだけのキスで、息をあげるなんて思ってもいなかった越前は笑いながら

「不二先輩もこんなところあるんっすね」

と、言う。
それに、不二はムッとしながら越前を睨む。

「…全く…油断も隙もないな」
「今更そんなの言ったって、可愛いだけっすよ?」
「……」

不二は、不服そうにして、確かに僕が受けだけどさぁ…越前に優先券を渡した訳じゃないし…と、ブツブツと文句をこぼす。

「それよりも、ふけましょうよ?」
「…良いよ」

越前がニヤリと言った言葉に、先程までとは、うって変わって不二は静かに言う。
それに越前は、不二先輩はこうでなければ…と、思う一方で、あんな可愛らしい面を裏にもっているのだからたまには見たいと思う。
それを見抜いてか、不二が

「なにか言いたい事があるなら言いなよ」
と、言ったのに、越前は楽しそうに

「先輩も、まだまだだね」

と、歌うように言った。

End

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