ほん

□目撃者Dの証言(その1)
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はい。
絶対間違いなんかじゃありませんってば。

私は見たんです!この目ではっきりと。

あれはいつだったか・・・でもそんなに前の事ではないですよ。


私はその時、ギュンギュン閣下の命令で、山盛りの書類を執務室に運んでいたんです。

陛下のサインがいるものですよ。

大体はグウェンダル閣下で事足りるんですがね。
中には陛下の「渋谷有利原宿不利」でないと通用しないものがあるんみたいなんですよ。

まあ、私にはその辺の違いはよくわかりませんが。

とにかく言われるままに「お使い」をまっとうすべく執務室の扉をノックしたってワケです。

コンコン。

返事がありません。

念のためもう一度・・・。

・・・やっぱり静まり返ったままです。

仕方がないから取り敢えず机の上にでも書類を置いておこうと思って。
だってこのまま帰ったら、ただの「子供の使い」って言われるのは目に見えてましたからね。

「失礼しまー・・す・・・」

私は部屋の中に一歩入りました。

そこで目撃したんです!例の衝撃的シーンを・・。

午後の柔らかい日差しの溶け込む中でユーリ陛下とヴォルフラム閣下が座ってらっしゃったんですよ。
窓の近くで、カーテンは開いていたようです。

それだけ?だったら別に衝撃シーンでも何でも無いじゃないですか。

その時のお二人のお姿が・・。

ユーリ陛下とヴォルフラム閣下は微笑みながらおでこをくっつけあっていて。

しかもですよ。

ヴォルフラム閣下はなんと陛下のひざの上にお座りになっていたんですよ!!

もう今にも口付けしそうな甘い甘い雰囲気でしたよ。

私は見ちゃいけないものを見てしまった気がして思わず部屋の外に出てしまったんです。

慌てていたので扉を閉める音が少々響いたかもしれません。

「ふう・・・ビックリした・・」

おでこから噴出す汗を手で拭っていると、

「・・・まだ入れそうにないか?」

と後ろから重低音ボイスが響くではないですか。
そうです。グウェンダル閣下です。

閣下も執務室に入りたいの入れず、ずっとタイミングを伺っておられたようなんです。
でももう限界に達しておられたようで。

「このままではらちがあかん。こうなったら二人一緒に突入するぞ!」
「はい、了解しました。閣下」

私たちは勇気を出し合い、再度執務室の扉を豪快に開けました。

「入るぞ!!」

するとどうでしょう。

先ほど見た光景はまぼろしだったといいたげにお二人はいつもの机にお座りになって、もくもくと執務をこなされているではありませんか。

「やあ、グウェンダルにダカスコス。二人揃っていったいどうしたの?」

いつもの通りの陛下です。

私は思わず目をごしごしとこすってしまいました。

見間違えたのかな?
やっぱり幻覚を見たのかも・・。


でもその考えは直ぐに取り消されました。

なぜなら。眉間の皴をさらに深くしたグウェンダル閣下の視線の行く先には、首元にくっきりはっきりとキスマークをつけたヴォルフラム閣下のお姿が・・・。

・・・私が目撃した決定的なシーンはそれぐらいなんですけどね。

まあ、これからも色々ネタはできそうなのでまたいつでもお話しますよ。

次もまたいいネタが入手できていたらいいんですが・・。

(end)

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