ほん
□花の名前
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俺は今正直行き詰まっている。
その結果。
十六年間の野球一筋人生に於いて、全くといっていい程縁の無かった「花壇」の前に座り込んでいるのだ。
俺ってホントにへなちょこだよな・・。
つい最近、ヴォルフラムへの気持ちにハッキリと気付いたものの、どんな行動を取ればいいのか解らない。
仕方なくヴォルフの身代わりに「麗しのヴォルフラム」に愛を語っている情けなさだ。
「ホントにホントにきれいだよ。俺の毎日を彩ってくれないか・・?」
勿論花は無言のまま。
ああ、もう情けない。
学校では告白の仕方なんか教えてくれなかったし。
その時、ふと「麗しのヴォルフラム」の横に見た事のない花が咲いているのに気が付いた。
クリーム色の、花びらがたくさん付いている可憐にして繊細な花だ。
「・・これだ!」
俺は天からの啓示に感謝しつつ、城の中に駆け込んだ。
目的はツェリ様。
幸運な事に、昨日から自由恋愛旅行の途中で真魔国に帰って来られていたのだ。