ほん

□俺のきもち−君に捧げる
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人生における最大の危機。それをこんな処で迎えるとは・・。

アルノルドの戦いの時でさえこれ程の絶望感を味わった事はない。

俺は今、何よりも大切にしていたものを奪われようとしているのだ。
ぽっと出のトンビに。

まあ、俺にも少しくらいの落ち度はあった。

陛下の性格を甘く見すぎていた事は今でも悔やまれて仕方がない。


−それにしても、ユーリがあれ程に手の早い男だったとはな・・。フッ。

「僕は生まれてこの方一度も彼女ができてませーん。奥手な野球少年でーす」

その言葉にまんまとだまされてしまった訳だ。

だいたい、純情な田舎少年が初対面でいきなり求婚なんて行為をするはずがない。
いくら相手が、目の玉が飛び出るほどのかわいこちゃんでも理性と言うものが働くだろうに。

お前は野獣か、それともハンターか!

婚約は間違いだったと言いながらも、解消する気配はまったく無く、それどころか今や国民も認めるロイヤルカップルにまで成長を遂げてしまっているのだ。

敵ながら見事な手腕と誉め称えるしかない。



思い起こせば、82年前。
まだ小さかったヴォルフラムをこの腕に抱いときに、俺は新しい人生を歩き始めた。
変態という名の人生を。
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