ほん
□明日になれば・・。
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ユーリが変だ。
僕は嫌われてしまったのだろうか・・。
事件は昨日の夕食時に起こった。
その日は珍しく大賢者も一緒にテーブルを囲んでいて僕はちょっとイライラしていた。
彼はユーリの事ならなんでも知っている、とでも言いたげに尊大な態度を取るからだ。
「ねぇ、フォンビーレフェルト卿っていい香りがするよね」
そんな言い方をするのは大賢者。
「べつに意識したことはない。なにも付けていないし」
「そう?甘くて柔らかい香りがするよ。ねぇ渋谷?」
「・・。俺に振るなよ」
ユーリの声が低く籠もって聞こえる。
「だってさー。渋谷気付いちゃったんだよねー。好きな香水の正体」
「・・。話が見えないんですが。陛下の好きな香りって・・?」
コンラートが黒く壮絶な笑顔で大賢者を見やった。
何故だか背中に寒いものが走る。
「例えばフォンビーレフェルト卿の髪から香る白い花の・・。」
そう言って僕の髪をさらりとかき上げる。
「何して・・!」
「お行儀悪いですよ、倪下?」
ユーリとコンラートが同時に突っ込んだ。
「いやだなー。二人とも。冗談、冗談!」
それからだ。ユーリの態度がおかしくなったのは。