別冊(Req)
□ヘーカと、ボクと、時々、ワンコ
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「・・そうか。それでお前達は二人いっぺんに僕の前に現れたのだな。なるほどなるほど・・」
「そーゆーこと。良かった。ヴォルフがおりこうさんで」
「ならば、早速はじめるとしようか。余にはあまり時間が無いのだ」
「コラ待て待て待て待てー!!」
そんなわけで、夕食前の魔王寝室には黒髪二人と金髪がベッドの上に居る。
ヴォルフラムは二人のユーリににじり寄られて、今にも喰われそうな状態だ。
「大体おしおきってなんだ!僕は何も悪い事なんてしてないぞ。言いがかりにも程がある!」
「よく言うよ。全然俺に付き合ってくれなくてさ。勝手にプイってどっかいっちゃうくせに」
それは本当に言いがかりだった。
ヴォルフラムだっていつもユーリと一緒に居たい。
けれど自分にだって仕事や訓練がある。
それに、四六時中べったりくっつかれると男は重荷に感じると聞いた事があったから、少し意識して離れていたというのに。
「はあ・・。へなちょこなお前には、一生僕の気持ちなんて判らないんだ・・」
「判るわけないじゃん。俺はワガママぷーじゃないもん」
「なんだと!自分だってユーリのくせに!」
「コレコレ。早くせんと、眞王とやらの魔力が切れてしまうぞ。余が実体化するのには限度があるのだ」
上様は真面目に焦ってるのか、仕切り始めた。
「そうだな。さっさとはじめるか」
へなちょこがぺろっと舌なめずり。
「ほ、本気でやるつもりか?」
と、何故だか底知れぬ不安が押し寄せてくる。
嫌な予感は現実味を帯びて来て。
「あったり前じゃん。一生俺なしじゃ生きて行けないぐらい、気持ちよーくしてやるからなー!」
ああ、やっぱり・・・!
ユーリは言うや否や、ヴォルフラムの腋の下に手を入れ、宙ぶらりんになるほど高く持ち上げた。
すると上様は、すかさず逃れようともがく体から衣服を剥ぎ取っていく。
見た目や性格は全く違うが、元は同じ人間だとわかる。
それくらい、息がぴったりだ。
「や、やめろ!お前達!」
「こらヴォルフ暴れんなって。早く早く上様」
「うむ。判っておる」
二人がかりであっという間に身包みをはがれたヴォルフラム。
悔し紛れに犯人達を上目遣いでにらみつけた。
上気した桃色の頬に、潤んだ瞳。
無意識の媚態は、殿方を瞬殺してしまうようで。
「ちょ・・俺ダメ、もう下に来た」
「はしたないではないか。もっと余裕を持たぬか」
「そういう上様だって、でかくなってんじゃん!」
「むむ・・!」
指摘されるまでもない。
(そんなのは、余が一番よく判っておるわ!いらぬ恥を・・!)
不利な流れを変えるべく。上様は学ランを脱ぎ捨て、エモノを膝の上に下ろした。
後ろ向きで、脚は大きく開かせて。
「こ、こらっ。何するんだ」
「そう暴れるな。力を抜くのだ」
上様は唇をヴォルフラムの首筋にぴたりと当て、後ろから手をまわす。
「もうこんなになっておるぞ・・」
冷たい指は、つんと尖った乳房を強く抓んだ。
そしてくりくりと意地悪く回してみる。
「ひゃあ・・ん」
嫌がりながらも喉からこみ上げるのは、鼻にかかった、男に媚びる声。