別冊(Req)

□最高の淫薬
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「ユー・・リ・・ユ・・」

泣きながら俺を呼ぶ声。背筋をゾクゾクとした快感が走った。

「もうダメ・・っ。ヴォルフ、中に出すよ」
「あぁあ・・ッ・・もイク・・っ」

返事と同時に、局部がビクンビクンと激しく収縮を始めた。

「っ・・一緒にいくぞ!」
「わかっ・・あ・・はあ、あっ・・!」

欲望を最奥に叩き付けた瞬間、ヴォルフは俺の腕にしがみついて来た。
全身で愉悦の声を上げながら。


(・・とうとう・・やっちゃった・・。けど、俺。だってヴォルフが・・)

悦楽に体を弛緩させているヴォルフを見るにつけ、再び誰にも渡したくない衝動が襲って来る。

このまま俺だけのものにしたい。
他の誰にも渡さず、自分だけのものに。

ムカつきと幸福感の中、俺はもうどうしようもなく発情していた。






雨は殆ど上がりかけている。

それから一気に何度も交わった後、
「お前、彼女と結婚なんてすんなよ。俺たちはもう離れられないだろ」

そんな風に切り出してみた。

だってもう結ばれてしまったんだ。
身も心も。
我侭かもしれないけれど、王の特権だってなんだって使ってやりたい。

「なあヴォルフ、これから先もずっと俺と一緒にいて?ずっとこんな風にして、俺と昼も夜も・・」
「・・それは、まるでプロポーズだな・・」

腰に力が入らないのか。テーブルに横たわったまま密やかに答えるヴォルフ。
滑らかな双丘からは、白い液体がトロりと零れ出している。

「うん。プロポーズかも・・。お前が彼女と別れられるなら」

俺がさらに言葉を続けようとした時。

「お前は勘違いしているようだが。エーフェにはちゃんと恋人がいるぞ・・僕ではなくて」
ヴォルフは気だるそうに俺の言葉を遮ったのだ。

「え・・?」

だって、ヴォルフラムが俺に、好きな人が出来たから結婚したいと言ってきて。
しかもタイミングよくエーフェと急接近しはじめて・・。

「彼女はいろいろアドバイスをくれたんだ。・・例えば、その気の無い男を巧くその気にさせる方法、とかな」

それから白い頬に、微かな微笑みを浮かべて俺の瞳を覗き込む。
またもや頭の芯が痺れた俺は、アイツの唇に貪りつくしかなかった。

たっぷりと心ゆくまで口付けを交し、さっきの続きを聞いてみる。

「それで、巧くいったの・・?」
「ああ。思った以上にな」
「ふうん・・。そうなんだ・・」

俺はボンヤリと外に目を向けた。

―そう、こんな時は黙って騙される方が幸せなんだ・・。


庇の下の蜘蛛の巣は、雨上がりの日差しを浴びてキラキラと輝いている。



(end)
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