別冊(Req)

□お手をどうぞ、お姫様
1ページ/9ページ

もうじき年に一度の恋人達の祭典クリスマスがやって来る。

日本中がプレゼントなんかの事で浮き足立って来て、彼女いない暦16年の俺には切ない時期だったりもする。

本来は神様の誕生をお祝いする敬虔な行事ってコト忘れてるんじゃない?皆さん。


俺はそんなはしゃぐクラスメートを横目で眺めながら、
『今年こそはかわいい彼女とクリスマスを過ごすんだ!』
と心に誓ったんだ。




お手をどうぞ、お姫様




彼女作らなきゃ・・。

12月に入ると、そわそわとお尻に火が付いたように焦って来てしまう。

でも今年は一味違うんだ。
何故かって?それは俺は魔王様だから。

権力を使えばかわいい彼女だって選び放題だしさ。
そりゃ権力だけが目当ての女の子は嫌だけど、でも日本で野球小僧やってるよりはずっと選択肢は多いはずだ。

ほら今日のパーティだって。


「陛下。これは我が末娘のコンスタンツェです」
細い足首の女の子。

「魔王陛下!此方をご覧下さい。姪のパリスです」
パリス・・。なかなかのビッ○風。

「それより、ユーリ陛下!私の娘のアンジェラですわ。ふわふわの髪が天使みたいでしょう?」
うん。その名の通り天使だ。

まてよ。
俺が知ってる中にもっと天使っぽいのが居たよなと、とある人物のシルエットが頭に浮かぶ。
顔は天使も真っ青の美少年だけど、中身はただの嫉妬深い小型犬のアイツ。

「・・やばいって。この状況アイツが見てたらきっと鬼みたいな顔をして怒鳴り込んでくるに決まってる・・」

ここで踏み込まれたら男としての立場が無いと、俺は恐々パーティ会場を見回してみた。

「あ、いた」

噂のアイツは自分も沢山の取り巻きに囲まれて、楽しそうな笑顔を振りまいている。
なんだ・・心配して損した。

ちょっと拍子抜けしたけど、これはこれでお互い良かったかもしれない。
俺にとっては折角のチャンスなんだから。

悪いけどこの際アイツ事はすっぽり忘れて、女の子達ともっともっと会話を楽しませてもらう事にしよう。

なんて言ってもクリスマスを暖かく過ごす為だって!
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ