別冊(Req)

□それは甘い紫の・・
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目覚めると、いつものように天使が隣で眠っている。

白い背中にふわりと光が反射して、本当に羽が生えてるみたい・・。
そんなファンタジーな錯覚に思わず目を擦って、もう一度ゆっくりアイツを見つめ直した。

・・全裸。
しかも大股びらきだし。

「ほら、もう起きろよヴォルフ。俺もいい加減執務にいかなくちゃならないから」
「う・・ん。・・お前だけ勝手に起きろ」
「そんな事言って。しゃんとしないと皆にまたからかわれちゃうだろ?あの果物事件以来・・」

昨夜は激しかったんですか、とか。
いつか子供孕ませちゃいますよ、とか。

一介の高校生がエロ親父みたいにあてこすられているこの現状をどう思ってんだよ、奥さん。

俺は心を鬼にして、眠っているヴォルフの体を揺すり起こす。

朝食はこっそり部屋まで運んでもらったからベッドの上で食べよう、そう説得して。

「ほら、ヴォルフ。あーんして」
「・・・ねみゅい」
「ああほら、こぼれちゃった」

山葡萄のジャムがヴォルフの胸元に零れ落ちた。
滑らかな肌に一筋の後を残して、紫色のそれはおへその辺りで留まる。

「もう仕方ないな・・ヴォルフは」
俺は苦笑いしながら、ジャムの通った道筋を舌でなぞってみた。

ぺろぺろ・・。
おへそのジャムも綺麗に舐める。

「ひゃん!くすぐったい、ユーリ!」
やっと目を開けたヴォルフが、男の本能を呼び起こすような声を上げるものだから。
心臓がばくばく暴れ始めて、もう止められない。

ヴォルフはいつだって、あっけない程簡単に俺を陥落させてみせるんだ。


というわけで。
たった今、オスの本能ってヤツが完全に起きてしまったようだ。

おはようーオレ!!!

「ユーリ・・まさか」
「しょうがないじゃん。起きちゃったものは寝かせてやらないと」
「・・執務は?」
「へーきへーき!ソッコーで一発やらせてくれれば!」
「何言って・・・あぁぁんユーリぃぃvV」
「ヴォルフっ!・・はぁはぁ 」



***



その頃の朝食の席。

「エーフェ、俺が頼んでたジャムもう作ってくれた?」
コンラートがエーフェにひそひそ声でなにやら尋ねている。

「はい。珍しいものとおっしゃってから陛下の朝食に持っていったんですけど。ダメでした?」
「・・・。そうか。いや、いいんだ。・・。」

ち、ユーリめ!
今日はまたもや陛下不在で、執務に借り出されてしまうんだろうな、俺も。
媚薬ジャムは失敗したが、次こそは・・。次こそは・・。

コンラートは思わず一人苦笑いを漏らす。
それは普段と違って、爽やかさのカケラもない、痛々しい笑顔だったという・・。



(end)



こちらもアンケートでダリア様から頂いたユヴォ?リクです。(ほらヴォルフ、あーんして・・。ねみゅい、あたりの可愛いセリフv&ペロペロ)

ダリア様の甘々ユヴォが大好物です。
な、なのに全然甘くならなくてスミマセンでしたー!!!

(一口では媚薬効果はないとか突っ込まないでくださいね;)

可愛いリク(元々は・・)をどうも有難うございました〜m(__)m
 

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