言の葉あ遊戯、
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「なんか増えてるよー」
「四面楚歌とはこう言うことを言うんですよ、主様」
ぞろぞろと湧いて出てくるホストたちに私と焔乃は背中合わせで構えた
「流石に1人では無理そうだねぇ」
「私が隙を作るので逃げて下さいませ、主様」
非戦闘員の私がいても役立たずなのは目に見えて分かっているので小さく頷いて、いつもは眠たさ故に半開きの瞳をちゃんと開けて目の前の敵を見据える
「いきますよ、」
「………………」
「烈火神髄!」
ザッと肩幅に足を広げながら息を吸い込んだ焔乃は口元に手をやり、一気に吸い込んだ空気は細く速く吐き出した。二酸化炭素として出るはずの空気は炎へと変わり、一直線の炎の道を作る
その炎を避ける為に下がった敵と敵の間には一本の道。その炎が消えたと同時に私は地面を蹴って走り出した
「なっ!」
「てめっ!待てっ!」
「“触らないで!”」
逃げ出した私を捕まえようとして伸ばしてきた腕に言霊を使って跳ね返す。パシッと触れてもいないのに弾かれた手を唖然として見ていたホストは次の瞬間にはネズミの姿へと変わり果てていてギロリと私を睨みつけた。それが蛇太夫と重なって見えてしまってせいか、ガタガタと震える
「っ…流石、言霊一族だなぁ」
「主様!」
「あ、」
敵が多すぎて思うように蹴散らせれないのか怨みの炎を飛ばしながら焔乃が止まっている私を咎めるように叫んだ。ハッと気づいた時には遅く、私を囲むようにネズミに化けた元ホストたちが立っていた。ネズミということは
「…旧鼠か」
「その名で呼ぶなや!星矢さんって呼べやぁああ!」
「“動くな”」
鋭い爪持った腕を振り上げた状態でピタリと止まった敵。その瞬間を逃さず脇をすり抜けて走り出した私の腕を誰かがギッと引っ張った
「う、きゃっ!」
「逃がすかよ!」
私の言霊は短時間しか持たないのが殆どなので効力が切れたのだろう。引っ張られたまま後ろへと引きずられながら飛ばされた。ズサッと音を立てて倒れた私は庇った右手首を抑えながら辺りを見回すが焔乃とは結構な距離が空いている。助けてもらうのはまず無理だろうと焦る頭で考えるが突破策が見つからない
「ちょこまか逃げやがって」
「…………」
「はっ!女が睨んでも怖くねぇよ」
「う、うるさいっ、あっち行けバカー!女の子に手荒い真似して良いと思ってるのかコラー!それでもホストかクソホスト!お前らなんかホストじゃなくてクソで十分だクソヤロー!」
「んだとこの野郎っ!」
「“あっち行けっ!”」
「うわっ!?」
「ガバッ!」
殴ろうとしてきたホスト、いやクソヤローに怖くなって頭を抑えながらギュッと瞳を瞑って言霊を発動すれば私を囲むように突風が吹き荒れ周りにいる敵をぶっ飛ばした