言の葉あ遊戯、

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「………………」

「ぬ、主様、白眼を向いておられますよ」

「、おっと…危ない危ない。寝ちゃいそうだったよぉ。ありがとー焔乃」

もう眠くて仕方がないが我慢だ。狒々様の容態が安定してきているからそろそろ目を覚ますだろうと計算して早12時間。どこで計算を間違えたんだ、未だに目を覚まさない狒々様

「ふぁ…ねむ」

「仮眠を取られては如何ですか?」

大きな欠伸をしながら立ち上がり草履を引っ掛けた。振り向いて苦笑を零しながら焔乃を見る

「いや、いいや。今からちょっと出かけてくるから、狒々様よろしくねぇ」

神楽を片手にヒラヒラと手を振れば、焔乃は心配したように眉を寄せて立ち上がり、私に近づいた

「お一人では危ないです、主様。せめて、護衛をおつけください」

そう言って焔乃は両手をパンッ!と合わせ、何かの呪文を唱える。離した両手の間からは優しい炎。段々と形を形成したかと思えば大きな鳥になった。わぁっ、すごい!

「こやつをお使い下さい。主様の身を御守りするんだよ」

「キュー!」

ファッサ、ファッサと羽を羽ばたかせる鳥は私を見て深く頭を下げた。よしよしと嘴を撫でてやれば気持ちよさそうに目を細めキュウキュウと鳴く鳥

「名前はなぁに?」

「キュー!」

「……………」

「名前は御座いませぬ。どうか名付けてやってください」

「分かった。キュー太郎な」

「キュ!?」

ショックを表すかのように固まる鳥に冗談だよと笑って頭を撫でる

「赤色の毛並みがとても綺麗だから君の名前は今日から紅(くれない)だよ」

さぁ行くよ、紅。呼べば私を背に乗せる為に腰を低くする紅。焔乃は笑って頭を下げた

「お気をつけて下さい、主様」

「分かったぁ。行ってくるねぇ」

背に乗り、軽く叩けばキュー!と一鳴きして上昇する紅。外はお昼時だがら見つかりやすいかなぁ……まぁ大丈夫だろう

「“普通の人には私たちは見えないもんねぇ”」

「キュー?」

首を傾げる紅に何でもないよと笑って進行方向を指さす

「浮世絵中学に急いで向かってねぇ」

白眼を向いて夢の世界に行きかけた時に微かに視えた未来。あれはきっと───……



「うぅん。大丈夫だよ。私が止めるんだから」


首を横に振って、視た未来をかき消す。神楽を持つ手に汗がジワリと浮いた





120602 りん汰

 

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