言の葉あ遊戯、
□09
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あの後、本家に戻ってきた私は焔乃と首無に2時間に渡る説教を受け、つららちゃんと黒、青には泣きつかれ、おじちゃんには盛大笑われた。説教が終わったあとに傷の手当てをしてもらった所為か、傷口から菌が入って高熱を出してしまい昨日の夜中まで寝たきりだったのだ。一週間、学校に行けなかったと思考を巡らせながら焔乃に入れてもらったお茶を飲みながら抹茶クリーム入りのお餅を口に含む
「3の口もいるー?」
「!」
コクリと頷いた3の口に食べやすいサイズに千切ったお餅を手渡せば特徴的な口でモグモグと食べ始めた。可愛いなと癒されていたら控え目に失礼しますと言って障子が開き首無が入ってくる。どうしたんだい?と私の代わりに問いた焔乃をチラリと見た首無は私の正面で衣服を正しながら正坐をした彼は頭を下げた
「琴美様…起床時間に遅れてしまって申し訳御座いません」
「いいよー、気にしてない。ささ美ちゃんに身支度してもらったしー」
「……………」
「にしても…顔が真っ青だけど、どーしたのー?」
本当に申し訳なさそうな顔をする首無に苦笑を1つ零しながら無理矢理話を変えてやれば首無はさらに顔を真っ青にさせる
「2日酔いかえ?」
「それもあるのですが……今日、リクオ様のご学友が訪問するらしいんですよ」
「へぇー…じゃあカナちゃんたちかー」
「主様、会いたい気持ちは分かりますが、主様が奴良家に住んでいることを知らないのでは…」
「ちぇー…つまんない」
ねー、3の口ー!と彼を見ればガタガタと震える3の口が目に入りギョッとして抱き上げた
「3の口?」
「陰陽師の末裔が来るみたいなんです」
「……………」
「……………」
「……焔乃、今日は何かなー」
「満月ですよ、主様」
ササッと数珠を私に差し出した焔乃に礼を述べながらそれを腕に付ける。首無が頭を僅かに揺らしながらそれは何ですか?と聞いてきた
「妖力を抑える数珠」
「今日は満月だから主様は力が抑えられないんだよ。陰陽師が来るなら封じないと捕まっちゃうからねぇ」
うんうん、と頷きながら未だに震える3の口の両脇に手を入れて持ち上げる。同じ目線の高さまで上げれば無垢な瞳とかち合った
「お前は妖怪だろー。シャンとしな。“守ってあげる”から」
「!」
「首無も」
「え、…?」
ニヤリと笑いながら膝の上に3の口を下ろして頭を撫でてやる
「隠れる場所がないなら今日は此処にいなよー」
そう言ったら首無が安心したように笑顔を浮かべながら頷いた
111029 りん汰