言の葉あ遊戯、
□08
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「…カラスよ」
「…………え?」
朧車に乗り込んで帰路についていたらリクオ君が鴉を呼んだ。呼ばれると思っていなかった鴉は生返事を返しながらリクオ君を見た
「あと…どれほどの盃を交わせば、妖怪どもに認められたらことになる?」
「えっ?」
ビクリと肩を震わせ驚く鴉を見ながら盃が空になったのを確認した私は妖銘酒の入ったビンを傾けながらトプトプと盃に入れる
「オレは三代目を継ぐぜ。なぁ、琴美」
高らかにそう宣言したリクオ君が四年前のリクオ君と重なって見えて小さく笑った
「はは、リクオ君ならなれるよ」
「あぁ。…オレが三代目になったら、琴美…オレと夫婦(めおと)になろう」
「………は?」
鴉が私の変わりにすっとんきょんな声を上げる。私もは?と言いそうになったがリクオ君の瞳がマジだったので咄嗟に堪えた
「嬉しいけど、」
「けど?」
一呼吸置いてから苦笑混じりに喋った言の葉にリクオ君も苦笑して私の頭を撫でる
「朝になれば、その言葉は忘れてしまうでしょ?」
「違いねぇな。だが、昼のオレも同じ考えだ」
「分かるの?」
「昼も夜もオレだぜ?そう言ったのはお前さんだ。忘れたのかい?」
薄く笑うリクオ君にゆるく首を振りながらそれを否定した
「忘れてないよ。そうだね、同じだったね」
「今のオレも、昼のオレもお前以外考えてねぇよ」
「きゃー…恥ずかしいー」
棒読みで述べれば感情が籠もってねぇよと空になった盃で額をこつかれる
「──で?…返事はどうなんだい?」
「はい。喜んで」
ふふ、と笑えばリクオ君も微笑みながら鴉を見て、不敵に微笑む。ゴクリと鴉が息を呑む音が聞こえた
「なぁ…そうだ。さっきの画図。最高幹部って、何人いるんだい?」
「狒々様と牛鬼と一ツ目の3人だよ」
「ほう。少ねぇな」
「いや、明らかに違いますよ琴美様。リクオ様も納得しないでください!」
「えぇー。我が儘だなぁ。あ、木魚達磨も入れて4人だね」
「余裕だな。お前と夫婦になる日も近ぇな。喜べ、琴美」
「わぁー、嬉しいなー」
「いや、だから少ないですよ琴美様!そしてリクオ様も納得しないで下さいって!」
もうヤダこの人たち!と鴉がシクシク泣いていた
111029 りん汰