言の葉あ遊戯、
□07
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「なっ」
「なんじゃこりゃあ!?」
「おぼろ車ぁ!?ほ、本家かぁっ!」
屋根をぶっ壊して突撃してきた朧車には見覚えがある
「鴆くん!?」
バッと中から姿を現したのはリクオ君と鴉だった。状況がイマイチ読めないのか吃驚したような顔のまま倒れる鴆に走り寄ったリクオ君
「っ!琴美様っ!?」
「え、……琴美?…なんで!?」
倒れ込みながらギリギリと鞘で攻防をしている私に気づいたのか鴉が顔面蒼白させながら引きつった声を上げる。それに気づいたリクオ君も私が居るとは思わなかったのか目を見開いて驚いていた
「ゴホッ…」
「しっかりして!」
「─ごふっ…り、リクオ?…どーしてお前が……ここへ」
背中を支えながら鴆を起きあがらせるリクオ君を尻目に私は力を振り絞って足を蹴り上げる
「ぐあっ!」
「っ…はぁああ!」
「琴美!」
「琴美様!お怪我をっ!?」
ザシュッと下っ端を切り捨てて素早くリクオ君と鴆の前に立ち、刀を両手で握る
「んだぁ!?てめぇ」
「こいつ…あの奴良組のバカ息子!?」
狼狽える蛇太夫たちを睨みつけるように見つめながら少しだけ意識を後ろにやった
「リクオ君、お供はどうしたの!?」
「…オレじゃ…お前らを守れねぇってのに…」
「琴美、カラス天狗…こいつらは?」
「わかりませんが─」
「元鴆一派の幹部、裏切ったの」
えっ、と私を見るリクオ君と鴉。ギリッと歯を食いしばる鴆を見た私はバサリと羽織を脱ぎ、それを頭から鴆にかけてやりながら口を開く
「リクオ君、時間稼ぐから鴆連れて早く逃げて」
「──は?……何言ってるんだよ!?傷だらけなのに!」
「なりませぬぞ、琴美様!震えていらっしゃる貴方をこのカラス、置いては行けませぬ!」
パタパタと飛び回る鴉の頭を鷲掴みにしてリクオ君の方に投げた
「くく…丁度いい……このウツケ者の反対派は幹部に多いときく」
「っ…」
「ぬらりひょんの孫…殺してハクがつくってもんだっ!」
完全な蛇の姿になった蛇太夫が牙を向けながら物凄い速さで迫ってくる
「許せねぇ」
不意に低い声が響いた。聞き覚えのある低い声だが迫り来る敵に後ろを振り向ける余裕もなく、冷や汗で滑りそうになる柄をしっかりと握って足を肩幅ほどに広げて斬ろうとした瞬間、
「琴美、危ねぇから──…」
「ど、どけ!?二人とも!お前に何が出来る!?」
「…──下がってろ」