言の葉あ遊戯、

□03
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キャッと短く悲鳴を上げたカナに暗闇の中、目を凝らして辺りを見ていた清継が肩をビクリと震わせる

「い、家長くん!?ビックリするじゃあないか…」

「だ…だって…そこに……人が…並んでたから」

人?と島が懐中電灯の光をそちらに向けた瞬間、家長、清継、島がピシリと固まった

「な、なんか…おかしくないか…?」

「清継くん…アレ何?」

「え……さ、さあねぇ」

明らかに人ではないであろう風貌の男たちにジワリと変な汗が三人を襲う。怖さからか震える足を後ろへとやった

「ち…けっこう生き残ってんじゃねーか」

「ヒッ!?」

「ど…どなたさまですかぁーーっ!?」

ゆらりと姿を現したのは、崩落事故を起こした張本人であるガゴゼ

「あんまりトンネルがこわれなかったようだな…とにかく、ここにいる全員“皆殺し”じゃ」

ニタリと身の毛も弥立つ笑みで口端を上げたガゴゼは目の前にいる子供たちを見てガガガと呟く

「若も…琴美様も…もろともなぁ…」

その言葉を合図に死神を思わせる巨大な鎌を持ったガゴゼの仲間たちは一斉に襲いかかってくる

「ひ…っ!」

「あ、ぁ…こっちへ…」

「よっ、妖怪…ッ!」

「あぁ、…う、わぁああぁああああー!」

「いやぁああああ!」

振り上げた鎌を一気に振り下げようとした刹那──ゴバッと鈍い音と共にトンネル内に僅かな月明かりが入ってきた。その急な変化に動かしていた腕をピタリと止め、そちらを向けば

「おほ……見つけましたぜ、若ァ」

「生きてるみたいですぜー」

百鬼を率いたリクオがガゴゼたちを上から見下すように睨んでいた

「………ガゴゼ。貴様…なぜそこにいる?」

「ガ、ガゴゼ様…」

「本家の奴らめ…」

グッと苦虫を噛み潰したように眉を寄せたガゴゼから視線を逸らしリクオは叫びながら怖さ故に涙を流す清継たちを視界に入れ、トンっと妖怪の背から地に降り立つ

「よ〜〜しよし、もう大丈夫だよ」

「やめろ。おめーらは顔コエーんだから」

慌てて子供たちから離れていく妖怪に呆れたような目線を送り、続いてカナたちを見てから少しだけ口端をゆるりと緩めた

「よかった…無事で」

え、と驚くカナにリクオは目線だけを辺りにさまよわせて首を傾ける。一人足りないのだ。リクオが探し求める、最愛の彼女の姿が

「琴美は…いねぇーのかい…?」

「え?…ホントだ…琴美様が居ない」

いないと言う言葉に妖怪たちは当たりを隈無く探し始めるが琴美は見つからず、リクオはギリッと歯を噛み締め眉を寄せる。居ないならば犯人はコイツしかいない…

「ガゴゼ……テメェ…琴美をどこにやりやがった?」

「?…琴美ちゃん、なら…途中で降りて……学校に、戻った…よ」

恐る恐るといった風に口を開いたカナにリクオは小さく、なんだと…と吃驚した顔で呟き、素早く隣に控えていた首無に目配せする。それに気づいた首無は一つ、頷いてみせるとリクオに背を向けてトンネルを後にした





「カナちゃん、怖いから目つぶってな」

リクオはそう言って不適に笑った



111027 りん汰

 

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