言の葉あ遊戯、
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部屋へと入ってすぐの所でリクオ君に下ろされた。羽衣を裾へとしまいながら見上げればポンポンと頭を静かに撫でたリクオ君が僅かに微笑んで、ここにいろ、と音の無い言葉を口に表すのを見て頷く
「……何を考えている…──牛鬼」
柱に背を預けながらリクオ君が言った。ゆっくりとした動作で振り返った牛鬼。ゴロゴロと外が唸りだした。一雨きそうだ。いや、風も吹いてきている…嵐のような感じかな。色んな意味で今夜は波乱だ、と思考を飛ばしていたら
「質問に答えろ!このうつけがぁあぁああ!」
と、牛鬼の大声にビクリと肩を震わせて2人を見れば見覚えがありすぎる面子が揃っていて、声にならない悲鳴を上げた
蛇太夫、旧鼠、ガゴゼがリクオ君を囲んでいる。牛鬼の畏の幻覚か…
「言えよぉぉ〜リクオォォ〜!ガキのおめーに殺された…オレによぉ〜」
ガァアア!と迫りくるガゴゼにリクオ君が刀を振り切る。だが空気を切った事に気づいたリクオ君は目の前にいる蛇太夫に眉をピクリと動かした
「お前は組を継ぐ意志があるのか…それが知りたい」
これは全て牛鬼の言葉だ。それに気づいた私は真意を見極める為に奥に佇む牛鬼をジッと見つめる
「自分を守ってくれる百鬼夜行がいなければ…そんなものか!」
「……牛鬼…まさか…」
奴良組を愛しているからこその行動なのか、牛鬼は
「総大将は違った!お前の継いだ血はくさってしまったと言うのか!」
叫ぶ牛鬼と私との間で淡い青が視界を遮った。奥義…明鏡止水だ。ゴウッと鳴る炎の中で盃を抱えて刀を振り上げるリクオ君。ガゴゼ達が炎でもがき苦しんでいる
「牛鬼よ。ためしてんのか?……オレを、みくびんじゃねーよ」
ザッと草履を鳴らせて牛鬼と対峙したリクオ君が炎を纏いながら刀を肩へと担いだ
「答えてやる、牛鬼」
「…………」
「オレの“意志”は変わらねぇ。血に目覚めた時からな」
「…………」
「オレは三代目となり──琴美と共にてめえら全員の上に立つ!」
言うやいなや、ガキィイインと刀を交え始めた2人に私は祈るように腕を組んだ。双方の刀の間で火花が散る。両者同等互角の攻防を繰り広げる中、後ろへと跳んだ牛鬼が叫ぶように口を開いた
「まだだ、お前はこんなものなのか!」
「牛鬼、オレを殺して……その後どうするつもりだい」
甲高い音が室内に響く
「─お前を殺して……オレも、死ぬのだ─」
「…っ!」
夢が重なる声にドッと出てきた汗。奥歯がガチガチと震えだしペタリと床に座り込んでしまった。瞬間、ガシュゥゥッ!と 肉を裂く音と同時に2人が交差する