言の葉あ遊戯、
□15
1ページ/2ページ
久し振りに学校へと行けばみんなに心配された。風邪大丈夫?と聞かれ、もう治ったよぉと返す内容の話は、もう数十回と繰り返し行われている
「よいっ、しょ」
SHRが終わって、先生に指定の鞄で来なさいと指導された私は適当に返事を返してリュックを背負い、校舎を後にした。今日はリクオ君が熱を出したみたいなので早めに帰らないといけないのだ
「焔乃」
「はい、主様」
人気の少ない細道に入り携帯のストラップに化けていた焔乃を撫でると一瞬で私を乗せれるような大きさの鳥に変わった。これぞ阿吽の呼吸だ
「超特急でねぇ」
「御心のままに、主様」
ブワッと浮上した焔乃の上で上手くバランスを取りながら言霊で自身を固定した
***
「ただいまー!」
「お帰りなさいませ、琴美様」
「ただいま、青田坊」
庭へと降り立った私は近くにいた妖怪たちに挨拶を交わしながら縁側へと上がりリクオ君の部屋へと向かう
「ホラ鴆様、リクオ様は安静にしてないと」
障子が開いていてそこから声が聞こえる。多分、毛倡妓の声だ
「ただいまー!リクオ君!」
「あ、琴美……おかえり」
「おう、琴美」
「あら、琴美様。お帰りなさいませ」
部屋へと入れば顔を真っ赤にさせて寝ているリクオ君と鴆に、やはり毛倡妓もいた
「よー、鴆。寝てなくて良いのー?」
「そうですよ。あなたこそ寝てなくて、いーんですか?」
リクオ君の顔の近くに座り頬に手を滑らせみたら思った以上に熱くて思わず手を離そうとするが未遂に終わってしまう。リクオ君が私の手を掴んで離さないのだ
「ん…琴美の手……冷たくて気持ち良い」
「リクオ君が熱いんだよー」
苦笑を零しながら手に擦りよるリクオ君を見て薬飲んだ?と聞けば、まだと返される
「薬飲まないと、だよー。お水とか取ってくるねぇ?」
ゆっくりともう片方の手でリクオ君の手を離そうとすれば、力を入れられて引き剥がせなくなってしまった。どうしたリクオ君
「だめ…もう少しだけ……ね?」
「今日は甘えただねぇ、リクオ君」
「…琴美にだけ…だよ」
「………………」
「…?…琴美?」
「ゴメンね。すぐ“治る”から」
しんどそうに笑うリクオ君が少し可哀相で(きっと、熱を出したのは私がパピコ買うのに明け方まで付き合わせた所為もあるから)、言霊を乗せて喋ればリクオ君の顔から赤みが少しだけ引いた
「…琴美の所為じゃないよ。ありがとう、少し楽になったよ」