言の葉あ遊戯、

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「四時か……そろそろ会議だな」

立ち上がった鴆が縁側へと出ようとする。遥か向こうからドタドタと物凄い足音と、若ーっ!と言う叫び声が聞こえてきた。多分、鴆危ないよねぇ

「行くわ。じゃーなリクオ」

「あっ、鴆君!」

リクオ君の制止の声虚しく歩きだした鴆は全力疾走してきた雪女、基氷麗ちゃんにバシンッと吹っ飛ばされていった

「若〜!すいませんーっ!」

わぁああとスライディングする勢いでリクオ君の手を取りながら氷麗ちゃんが泣きながら叫ぶ。吹っ飛ばされて倒れている鴆が気になって縁側へ出ようと腰を上げて歩き出せば今度は私が吹っ飛んだ。飛び上がった氷麗ちゃんに押されたみたいだ

「ヒヒィイイイ!?40度以上ーっ」

「わぁああ!」

「あ、琴美!」

「琴美様!?雪女、あんた下がってなよっ!」

ガゴンッと縁側とダイナミックすぎるキスを交わした私は隣で吐血しながら同じようにうつ伏せで倒れる鴆をチラリと見て頷く

「あいつキライ」

「根は思いやりのある子なんだよ、鴆」

一応、代弁はしてやった








***

「あ、氷麗ちゃん。手、大丈夫ー?」

「琴美様!先程は申し訳御座いません!この通り、氷麗は大丈夫でございます!」

とりあえず、リクオ君に薬ようのお茶だ、と台所へと足を運べば既に氷麗ちゃんが用意していて私と一緒に部屋に戻る事になった。縁側とは逆の屋敷中の廊下から氷麗ちゃんが笑顔で襖をガラッと開ける

「お待たせ〜。リクオさ………」

「あっ!───と、セーフ」

が、同じく部屋の中から襖を開けようとしたカナちゃんと真っ正面から出会ってしまい、驚きのあまり顔面蒼白した氷麗ちゃんがお盆ごと手を離したので、それを素早くキャッチした

落ちなくて良かったとアワアワと慌てる氷麗ちゃんと驚くカナちゃんたちの横を通り抜けてリクオ君の顔の近くに座る

「…みんなはいつ来たの?」

「さっきだよ」

「ふーん。あ、お薬飲んでね、リクオ君」

てがすぎる氷嚢を退かせて、リクオ君の背に腕を回してゆっくりと起きあがらせた

「私が帰る時に偶然あったから連れてきたんだよ」

薬を飲むリクオ君の隣で未だにアワアワと慌てる氷麗ちゃんに助け舟を出してあげれば、困った顔をした氷麗ちゃんと目があったからウィンクしてやった。意図が分かったらしい氷麗ちゃんがワイワイと騒ぐみんなに苦しい言い訳をしていたが、まぁ大丈夫だろ

「ありがと、琴美」

「いいえー」

クスリと笑えばリクオ君も困ったように笑った

「さあて!看病はさておき!ゴールデンウィークの予定を発表する!」

立ち上がりながら拳を掲げる清継君にポカンとするみんな

「へ?」

「ゴ、ゴールデンウィーク?来週からの?」

ギャーギャー騒ぐみんなに私はポツリと言葉を漏らして溜息をつく

「めんどーな事になったなぁ」

「ボクとの旅行だと思えば?」

「………リクオ君って、病気とかになったら大胆になるタイプ?」

「…さぁ。」

フッ、と息を吐き出してアクティブすぎる清継君を半ば呆れたような目線で見上げた

「場所はボクの別荘もある捩眼山!今も妖怪伝説が数多く残る彼の地で…妖怪修業だっ!」





111101 りん汰

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