言の葉あ遊戯、
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「アンタ、言霊の言姫やろ!」
「?…言霊の言姫?」
カナちゃんが首を傾けながら私の名を復唱した。頷いた花開院さんは神妙な顔で私を見つめてる
「人間でもなければ妖怪でもない、精霊のようなもん。代々、花開院家は妖怪退治と併行して、言霊を保護して守護するのが役目なんや」
「そんなに凄い人なの?言霊って」
「当たり前や!言霊が発する言葉は全てに置いて絶対的存在。人間からも妖怪からも狙われるねん。やから花開院家が護らなアカンねん」
ほほー、そこまで知っているとは凄い。思わず拍手しそうになった
「一緒に京都に来てもらえへんか?」
「いや」
「なんでや……ここには妖怪が居って危ないねんで。妖怪の総大将だっておんのにっ」
後ろに下がって拒否すれば花開院さんが一歩前に出てリクオ君をチラリと見て力説してくる
その妖怪の総大将、つまりリクオ君とは恋仲であり許嫁です。なんて言ったら大変な事になるなぁ、と引きつる笑みを浮かべながらまた後ろへと下がる。トンッと背中に何かが当たり、えっ?と後ろを向くとリクオ君が真後ろで私を見下ろしていた
「…あ、…妖様」
「行くぜ、言姫。夜が明けちまう」
「はい、妖様」
行きと同じように片手で私を抱き上げたリクオ君は首無に目で、行くぞと合図をして踵を返す
「ま、待ってぇ!お前が妖怪の主か!」
叫ぶ花開院さんにリクオ君が足を止めてチラリと後ろを見る
「言姫をどないする気や!?」
「お前には関係ねぇよ」
「〜〜っ!…お前を倒しに来たんや!次に会う時は絶対、倒す!言姫も次は連れて帰るからな!」
連れて帰る…だと?……ギュッとリクオ君の羽織を握れば、それに気づいたリクオ君が私と目線を合わせて僅かに微笑んだ
「せいぜい、気をつけて帰れ。首無、お前女に甘いな」
フッと余裕たっぷりに口端を上げたリクオ君はその言葉を最後に広場を後にした
***
「あはっ!パピコあったよー!」
「ククッ…そんなに嬉しいのかい?」
あの後、数珠を返してもらった私は人間の姿に戻って一番街の先にあるコンビニへ行き、目的の物をゲット出来たのだ。駆け足で店から出た私は外で待っていたリクオ君に近づく。あ、焔乃は眠たいのか先に帰ってしまった。リクオ君が居るから狙われる心配はないし、気兼ねなく帰れたみたいで何よりだ
「はい、半分こ」
「ん、サンキュ」
キュポッと小気味よい音を鳴らせながら上の蓋を取ってゴミ箱へと捨てる。勿論、蓋についているアイスはちゃんと食した。偉い、私
「うん。桃だねぇ」
「…そりゃあ、白桃って書いてるしなぁ」
そんな話をしながらリクオ君と手を繋いで家まで帰った
111031 りん汰