NORA犬と最恐飼い主

□追い駆けっこ編
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そう宣言すると携帯は切れてしまった。
ノラは現在の時刻を確認すると一磨が走り去った方向に突っ走った。

ここの施設に長いこと閉じ込められていたノラにとっては、とても有利なもので ノラは今後について夢膨らませていた。

(挙式は2人きりで挙げて、初夜は…オレが絶対上だろ……んでヤツをいっぱい泣かせてやる! ああいうヤツはプライド高いから結構見物だよなぁ)
などと、ドス黒い感情を抱いていると

ズボッ!
「へっ…? ええぇェェッ!!?」

ドターン!!

ノラはこともあろうか、落とし穴にハマった。

しかも結構深くて、一応落ちた時受け身をとったが、それでも痛い。

「てェ……っ!」

「ふん、駄犬め ヘンなことに頭を使っているからだ。」

「なっ! テメェ!!何しやがる!!」

「オレは何もしておらん、それは最初からあった穴だぞ?」

「え、……」

確かにいくら一磨が早く走りだしても、人間が短時間でこんな深い穴なんて作れないし、 よくよく考えてみると確か前に自分で掘ったような気がする……

「自分の罠にかかるとは、世話ないな」

「う、うるせぇッ!! みてろテメェがそう余裕ぶってんのも時間の問題だからなっ!!」

「……過去の貴様が果たせなかった策を オレが代わりにやってやろう」

一磨はそういうと、この穴を掘ったときにでた土を穴の中に戻していく。
「やめろ! う、埋まるッ!!」

「埋まるついでに、その痛々しい頭を土の肥料として貢献しておけ。」

そして"駄犬" と一言付け足して一磨はどこかに行ってしまった。

「ち"ぐじょ〜! 絶対泣かす!!」

ノラは頭等にかかった土ををハラって穴から脱出を試みるが、土は柔らかく掴んで上がることが困難だった。

「クソッ……しょっぱなから使いたくねぇのによ!」

ぶつくさ文句を言って両手をクロスする感じにして…下に向けた

「水属 "七龍水" (アクア しちりゅうすい)!!」

そう叫ぶと同時に手前に三角形の図が表れ、そこから七体の龍を型どった水が出現する。

その威力は凄まじく、使用者であるノラを空に吹き飛ばした。

ポーン
と飛んだ体を捻り着地する。 運動神経は人間のなりをしていてもやはり人並み以上だ。

「脱出! はっ見たかオレの実力を!!」

辺りに誰もいないのに意気揚々とするノラ。

「おっとっと、時間は…でェ?! 後半分しかねぇのかよ! ヤベェ、早く捕まえて血の締結しねぇと…」
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