NORA犬と最恐飼い主

□出会い編
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鮮やかな夕焼けが空に広がるなか、ある所では勉強という名の戦争が起きていた


ある所とは-天陵学園中等部-

もうすぐ暗くなる時刻だというのに、生徒会室では他の者に世界史を分かりやすく説明する少年がいた。

名は真狩一磨といい、頭脳明晰、スポーツ万能で、財もあり、その上生徒会長という完璧人間だった。

そのため、何かしら物足りなさを感じる一面も持っている。

「・・中世ヨーロッパに流行した悪魔信仰は・・・・・でここでのテストでの重要点は・・・」

一磨がスラスラと話を進める中で、勉強を受けている藤本がコクリコクリと夢の世界に誘われていた。

「おい」

ガンッ!

至近距離からの中身ありのコーラが藤本の顔面にヒットする。

「この俺の前で惰眠を貪るとは良い度胸だ そんなに地獄がみたいのか」

「真狩―――っ!!!」
急に現実に引き戻されて激痛が走る顔面を押さえて抗議をしようとするが―、

「追試がやばいと泣きついてきたのは貴様らだろうが」

「う"っ!」

痛い所を突かれて言葉が詰まる藤本

「あたしは自主参加!」
「ぼく関係ないんですけど・・・」

一磨の言葉に対し自分は関係ないと主張する比良坂と矢野。

「お前ら〜、・・なぁ真狩、俺やっぱもういいわ・・・って うわ!?」

ドカドカドカッ!!

藤本が言い終わる前に参考書などの本の嵐が襲った。

「生徒会役員の管理も生徒会長の仕事だ 堕落されると俺の品性まで疑われるだろうが」

ハン、と鼻を鳴らす一磨に藤本が本の山からよろよろと這い出てきた。

「分かった 分かったよ!! でも今日はお開きにしようぜもう遅いしさ」

「そーだね あたしもう暗いから帰ろっと」

「俺も」「僕も」

「待て、」

日が落ちるのを確認した比良坂が荷物をまとめ、帰ろうとするのに藤本と矢野も続いたが、一磨は一言それを阻む。

「な、何だよ、」

「野郎連中は防犯対象外だ」
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