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□君の笑顔と大輪の花々
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7月下旬のある日曜日。
ふと住宅街をあるいていると、一輪の大きなひまわりがぽつんと空き地に咲いていた



(こんなところにひまわりが……誰か種を落としていったのかな)



一輪しか咲いてなかったが、そのひまわりはひときわ大きくて、太陽に向かってのびのびと咲いてとても綺麗だった。



(ひまわりと言えば……仁王くんと一緒に一度だけひまわり畑に行ったことがありましたっけ)



中学三年の夏。青学に負けた私達を待っていたのは、三年なら誰しもが経験する部活動引退。立海テニス部を切原くんに任せ私達レギュラーは引退した。それからは毎日受験勉強やらなんやらでそれなりに忙しい毎日を送っていたが、ある日仁王くんからメールが入った。



"なぁ、一緒にひまわり見に行かん?"



仁王くんがみつけたとゆうひまわり畑にはあたり一面に綺麗なひまわりがさいていて、思わずはしゃいでいる私を彼は優しい笑顔で見つめてくれていた。



「そんなに喜んでもらえるとは…嬉しい限りじゃ」
「ふふっ、こんな素敵なところに連れてきて下さって有難うございます」
「柳生さんはこーゆーのが好きじゃった思てのぅ。……ここは俺しか知らん。じゃけ、俺と柳生さん2人だけの秘密の場所ぜよ」



ペテンをかけるときとは違う優しい笑顔。多分私にしか見せない優しい笑顔で彼はそういった。つられてニコリと微笑むと、軽く触れるだけのキスをされた



「ここに案内してやった駄賃を貰っとかんとの」



そういって今度はいつもの表情で私に笑いかける仁王くん。



「………仕方ありませんね。こんな素敵なところに連れてきて頂いたのですから、それなりのお礼はさせて頂きますよ」



そう言って、少しずれた眼鏡を押し上げ、彼の唇に軽く口づけてやった



「………流石紳士殿。ようわかっとるのぉ」
「調子に乗らないでください。今回だけですからね」



む、と眉間にシワを寄せると、ハイハイといいながら手を握られた。



「ほいじゃ今度はここ以上んとこに連れてってやらないかんぜよ」



ケラケラ笑いながら歩く彼に向かって「そのときは考えてあげなくもないですが」と言えば「その言葉、忘れるなよっ!?」と目を輝かせながら言われた。



(………そう言えばそんなこともありましたね………)



気付けば結構長い時間その場に立っていたようで、太陽が真上まで上がり、汗をじんわりかいていた。すると、ポケットの中で震えだしたケータイ。着信は仁王くん。すぐさま通話ボタンを押して話しかける



「もしもし……」
「あ、柳生さん?今何処におるん?」
「え、あぁ、家をでて少し歩いたところですが……何かありました?」
「いや……暇やったら一緒に行きたいとこがあっての」
「構いませんがどちらに?」
「前連れてった花畑より凄いところみつけたんじゃ。行ってくれるかの―――?」
「驚いた。仁王くん、エスパーでも使えるんですか?」
「は?………紳士殿。暑さで頭がやられたんか?流石の俺もエスパーはまだつかえんき」



それはそうだと思わず自分に笑ってしまった。電話の向こうでは多分首を傾げているのだろう、不思議そうにしている仁王くんの声が聞こえてきた。



「ふふっ、すみません。それではどちらで待ち合わせいたしましょう?」
「13時に駅前でええか?ほな、まっちょるよ」



電話を切って、私は駅へと向かいあるきだす。



(今回は少しぐらい甘えて、彼のお願いを一つくらい聞いてあげましょうか)



今回のお礼を考えつつ、幸せをかみしめながら私は彼のまつ駅へとむかう。



君の笑顔と輪の花々

君の笑顔こそが僕の最大の花なんだ

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