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□許してね?
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ふとポケットの中の携帯が震えた。




着信は柳くん




一緒に仁王くんがいるけれど、私はいつものように電話にでる
電話に気付いているのに出ないのは、
相手に悪い気がするから、と前に仁王君には断っていた




そしていつものように他愛のない話をした




新しく出た小説の話、
前々から気になっていたミステリー小説についての話、
次の試合の相手についてのこと



ほんとうに他愛のない会話をした


ただ、それだけ・・・






『なん、誰?』
「柳くんですよ、」
『ふーん、、、』






そう一言だけ言って、さも面白くない、
といった顔をしている仁王君







それから少したって
仁王君の携帯も鳴った







『んー?なんじゃブン太』






相手は丸井くんらしい。
・・・・・仁王君だって電話にでてるじゃないですか
・・・モヤモヤする




そして仁王くんも他愛のない話をして電話を切った





「丸井くん、ですか」
『なんじゃ、、ヤキモチか?』
「・・・・・・・」





見事に図星をつかれたので、私はなにも言えなかった




『・・・柳生じゃて毎日部活で会えるんに、柳と電話しとろうが』
「におうくんだって丸井くんと同じクラスだから、いつでも話ができるでしょう。それなのに」
『そこまで柳生にゆわれる筋合いなかよ』




あ、しまった。
とバツの悪そうな顔をして、頭をかく仁王くん
じわ、と目頭があつくなるのがわかった




「そ、れは・・・すいませんでした」




この人の前で泣くのはなんだか悔しくて
必死に涙を堪えた




「あ、した・・当番なんで先、帰りますね」




これ以上一緒にいたら泣いてしまう
そう感じた私は急いで歩き始めた


と、同時に背中にぬくもりを感じた
におうくんにだきしめられている






『ぃやーぎゅ、、、すまん・・・・あんまりお前が柳と楽しそうにはなしとるからおもしろうなくて・・・・俺だけほってかれてるみたいで・・だからって言い過ぎた・・・・ごめんな?』






仁王君が話し終わると同時に目頭に溢れていたものが一粒零れ落ちた
そして、抱きしめる仁王君の左手におちる
すると尚一層強く抱きしめられる




「い、え・・・・わたしも。。ごめんなさい・・・・なんだか丸井くんと話してるあなたがすごく楽しそうで・・・ヤキモチ・・・・・焼いてました・・」




振り返ると涙を拭われ、触れるだけのキスをされた
そしてまた抱きしめられる




『俺やてヤキモチやいとったけぇ・・・おあいこじゃ』




だから泣かんで?と今度は瞼にキスを落とされる
あたりはもう夕方とゆうには薄暗くて、人影もない
帰りましょうか、といってどちらともなく手を繋いで帰った







ヤキモチを焼くのは
あなたのことが好きすぎて仕方がないから

だから、許してくださいね?




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