裏
□*honey boy*
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日差しが暖かくて…
ついつい微睡む……
*honey boy*
―カチャ
軽い音を立ててドアを開く。
お目当ての彼に会うために。
「…ヒノエくん?」
声をかけてみても、返ってくることはなくて。
部屋にそっと入ると、彼の匂いがした。
香を薫くのは、あの時代の習慣。
もっとも、私が行ったのはそんな雅やかなところではなかったけど。
香水の匂いは嫌い。
きつすぎるから。
けど、この香は…
そっと、確認するようにベッドを覗き込む。
…やはり彼はそこにいた。
紅葉よりも紅い髪は、日の光を浴びて金色に輝く。
きらきら光るそれに、無意識に手が伸びる。
さら―…
やわらかい髪は、指に絡むことなく滑る。
「綺麗…」
思わず漏れた声に慌てて口を塞ぐが、起きる気配はなくて。
「…よく寝てるな」
なんだか少し、つまらない。
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