地球最後の日

□三橋
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「泣かないで廉くん、」
『っく、でも、地球、今日…』

最後のデート、廉くんは泣いていた。

廉くんの部屋、家。
窓から見える景色もすべて跡形もなくきえてしまうんだ。

「地球が終わっても、あたしと廉くんはずっと一緒だよ」

『ほんと?』


手を握り合って、
本当はあたしも泣きたいんだ。

それでも、それでも…
最期は笑顔で地球にさよならを言わなくてはいけない気がして。


「あたしね、廉くんが大好きだよ」
『?』

廉くんは子犬のような目で私を見た。


「投げてる廉くんも、笑ってる廉くんも、泣いてる廉くんも、全部好きよ」

頬を 涙が流れた。
ああ、泣いてしまった。

「でも1番は笑ってる廉くんが好きだから」


だから


「最期は笑っててね」
『俺も、笑うから、』
「あたしも 笑ってるね」



そっとキスをした。

二人抱き合って 地球最期の瞬間を迎えた。



「大好き」「お、俺も!」


宇宙かなたに 二人の思いは届いたのかな。

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