創作本編
□第三話
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はぁ、と成人はため息をつく。
ティアの様子からして、自分にヒントをくれるとは思わない。
「このやろう、自分でみつけてやらぁ。」
そういってまた部屋をあさり始めた。
ベッドの下、クローゼットの中、カーペットの裏。どこを探しても見つからない。
「限界?」
彼女が聞く。藍色の瞳がじっと見つめる。
「・・・ねぇ、本当に隠したの?実はまだ持ってたりとかじゃねぇの?」
「ティアは持ッテなイよ。」
そう言うと彼女は成人の背中に手をのばした。その時、
「成人!!!」
ドアが勢いよく開き、父親とカノが入ってきた。
「成人、大丈夫か?怪我とかしてないか?」
「わっ・・・大丈夫だよ父さん。」
頭を乱暴になでられ、そのくすぐったさに身をよじる。
「・・・ティア、どこに行ってたの。」
「散歩。今はあノ子と宝探しシテたノ。」
「そう・・・。珍しいじゃない、食べないなんて。」
「勿体無かッタから。」
これ以上ないような笑顔を浮かべるティア。カノの表情は引きつっている。
「とりあえず木下と成人君はここからでて。」
「あとは任せるよ、カノ。」
父親に手をひかれ、部屋から引っ張り出される。
「宝探し終わっチャっタ。またやロウね、せいと。」
「え?あ、うん。そういえば結局どこに隠したわけ?」
成人が聞くと、彼女はケラケラと笑い出した。
「・・・背中。」
ドアが閉まる直前に聞こえた言葉。再び暗闇の中を手を引かれ、歩き続けた。