創作本編

□第一章
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けたましく鳴り響くアラーム音。

「・・ん・・・まだ六時か・・・。今日の俺上出来ジャン。」

そうつぶやいて、むくりと起き上がる。頭はやわらかい髪質のせいか、素晴らしいことになっている。

「成人(セイト)ー!!ご飯よー!」

「今行くー!!!」



彼の名前は木下成人。今年から中学三年生である。

「成人!ちゃんとネクタイしなさいよ!」
「あーはいはい、わーったよ!」
「あと寝癖も直す!可愛いお顔が台無しじゃない!」

やけに口うるさい母親を軽くあしらい、奥にいる新聞を読んでいた父親に話しかけた。

「おはよう父さん。」
「ああ、おはよう。久しぶりだな。」

朝からきっちりと白衣をまとい、新聞を大きく広げている。その異様な光景に、成人は吹き出した。

「父さん変。家では白衣脱げばいいのに。」
「ん?あぁ、もうすぐ行かなきゃいけないんだよ。」
「研究?」
「そう。」

目の前に並べられた朝ごはんを口に詰め込みながら聞く。

「なぁ、何の研究?」

すると父は、

「企業秘密、なんだ。」

そう言って、いってきますという声と同時にドアの音がした。
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