創作本編
□第二章
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「どうしたの成人君?」
「えと・・・ティア、さんは・・・・・?」
「それがね、見当たらなくて。」
カノが苦笑する。
「きちんと探したの?」
「探したわよ。でも見つからなかったの。もう一回探してくるわ。」
「そう、わかった。」
そう言うとカノはまた暗闇の向こうへと消えていった。
しばしの沈黙。段々と暗闇が深くなってきた。
「父さん?なんか暗くなってきたけど・・・」
「月が隠れたんだろう。成人、離れないようにな。」
右手に感じる手の感触。成人はホッと一息もらし、その手をしっかりと握り返す。
すると、その手が前へ歩き出した。
「父さん?どこ行くの?」
しかしその手の主は答えない。その時、
「成人!」
後ろから自分を呼ぶ父親の声がした。
「父さん!?」
じゃあこの手は誰だ。振りはらおうとひねってみるが、強い力で握られているため振りはらえない。
後ろから呼ぶ声は段々小さくなっていく。それに比例して恐怖も増していく。
目をかたくつむり、引かれるままに歩いていると急に光を感じた。
「・・・ここ・・どこ・・・・?」
無意識に呟くと、おそるおそる自分の手を握っている主を見る。